美術館で目にする古代ギリシャの彫刻。ただ「美しい」と圧倒されるだけで、その理由を深く考えたことはありませんでした。この本は、そんな漠然とした感動の「なぜ?」に、子供にも理解できる言葉で明快な答えを与えてくれます。
まさに「美のおへそ」というシリーズ名の通り、均整の取れた人体の魅力や、神話の世界が持つ物語性など、古代ギリシャ芸術が持つ「美しさの秘密」を丁寧に解き明かしてくれました。ミロのヴィーナスといった有名な作品が、ゲームやアニメで親しんだ神々の物語と繋がった時、子供の目が輝いたのが印象的です。二千五百年という時を超え、遠い世界がぐっと身近なものに感じられた瞬間でした。
敷居が高いと思われがちな古典芸術の魅力を、難しい知識の羅列ではなく、純粋な感動と発見に満ちています。
まさに古代ギリシャの世界への最高の入り口であり、物事の本質を見抜く「審美眼」を、親子の心に優しく育ててくれる一冊になるのではないかと感じました。
また、「今もどこかに古代ギリシャの作品がねむっているかもしれない」という一文を最後のページで見て胸躍りました。