おばあさんが始めたお店はカーテン屋さんです。手始めに作った白いカーテンはおしゃべりをするカーテンでした。
職人の世界は安房作品によく登場しますが「夢見るトランク」と「小さい金の針」を思い出しました。
「小さい金の針」には、ねずみもカーテンもおばあさんも出てきますので、どちらの作品が早いのかわかりませんが、モチーフに似たものを感じました。
海のカーテンを作る時には、色の違うレースを重ねるなど、色のイメージがとても繊細で読者の方にもこんな色かもしれないと想像が膨らませやすいように思いました。
季節ごとに作られるカーテン、また小動物たちとの交流など、エピソードに事欠かず、10章にわたるお話であるにも関らず、読み終わった後の息子の感想は「もう終わりなの?」でした。
カーテンが木の葉の声をおばあさんに教える場面が印象的でした。
「けんかをしているときはだめですね。いそがしすぎるときもだめですね。心がおたがいにすなおで静かなときでないときこえません」とあります。
木の葉の声だけでなく、大事な声というのは、聞く側の姿勢が大切であることを改めて思いました。