とてもユニークでシンプルな絵に、心がほぐされるような絵本です。
幼児向けの絵本ですが、大人読みするとちょっと恥ずかしくなりました。
優越した自分でいなければ気がすまないにわとりと、自意識過剰なバラはいつも喧嘩しています。
お互いに美しさを競い合っているのです。
ある時バラは切られて家に連れて行かれます。
競う相手がいなくなった時、にわとりはどうしたでしょう。
この気持ちを多くの大人は、思い当たることがあるのではないでしょうか。
お話はここで終わりません。
バラしか見えていなかったにわとりは、まわりを見渡すのです。
ここで大人はふたつの選択肢を持つことになるでしょう。
新しいライバルを探す人と見えていなかったものを見て自分の愚かさに気づく人です。
この絵本はそんな終わり方はしません。
にわとりはまわりの花の美しさに気づくのです。
家の中で花瓶に挿されたバラは、改めてにわとりの歌声の美しさに気づくのです。
にわとりとバラの歌が溶け合う情景を思い浮かべると、とても爽やかな気持ちになりました。