絵本作家にもお気に入りの人がいます。
なので、その人の作品を見つけたら読むようにしています。
そんなお気に入りの絵本作家のひとりが、石川えりこさん。
おそらく同世代の人で、だからだろうか、余計に石川さんの描く作品が醸し出す匂いが好きです。
例えば、『ボタ山であそんだころ』や『かんけり』といった絵本など、
どことなく昭和30年代の匂いがします。
この『きつねの木』は、2025年4月に出た石川さんの新しい絵本。
一本の大きな木に命の尊さを託した、壮大な物語。
こぎつねが両親のもとを離れて向かったのは一本の大きな木。
そこでこぎつねたちは虫や動物や鳥たちと出会い、季節の移ろいを知ります。
木は雨の日も風の強い日もこぎつねたちを守ってくれる。
いつしかこぎつねたちも大きくなって、
この木のもとを離れることになります。
そして、時が過ぎ、おとなになって木のもとに帰ってきます。
今度は小さな子供たちをつれて。
人生も後半にさしかかって、石川さんにどんな思いがよぎったのでしょう。
自分の人生もまた、この木のようなものに育てられたのかもしれない。。
「昭和100年」「戦後80年」、それこそ私たちの「きつねの木」なのでしょう。