チェコに生まれ、時代に翻弄され乍ら、常に描き続けたピーター・シスの
壮大な自叙伝です。
子ども時代も含めて、膨大な数の絵で構成されているので、一つ一つ
が、切手のように小さくなっていますが、どれも愛おしくて、外せなかった
ということはよくわかります。
細かな線の一つ一つに、見たものは、すべてとどめておこうという、強い
意志がにじみ出ている気がします。
絵を描くことは、自分を支えることであり、世界を見つめることであり、と
りもなおさず、生きていることの証であったのでしょう。
そしてそれは、そのまま貴重な歴史の記録となって、私たちに、自由や
平和について、考えさせてくれるのです。