かみなりで真っ暗になった家の中、ろうそくの火をじっと見ながらマックスはたずねます。
「おとうさん、こわいとおもったことある?」
おとうさんはじっくりと考えてから、いくつもの「こわい」について、話してくれます。誰にでもこわいって思うことはある、ある時「こわい」がむくむくあらわれて、そこいらじゅういっぱいになるんだ、と。
知らないことをこわいと感じたり、激しい言葉がつきささっておびえたり、ひとりぼっちがこわいことも。どうしようもなくこわくなったり、時に自由になるのがこわいって思うこともある。固い殻を身につけて、こわくないふりをしている人もいる。でもね……。
気がつけば重くのしかかり、あっという間に心の中を支配してしまう「こわい」という気持ち。人はどうして「こわい」と思うのだろう。人が感じている「こわい」と自分の「こわい」はちがうのだろうか。そんな漠然とした、でも切実な疑問を、この絵本では、具体的な絵にして見せてくれます。その光景は、心がざわざわするほど恐ろしく、でも不思議と魅力的。
最後にお父さんは、マックスにしっかりと希望を伝えてくれます。巻末には「こわい」についての分析と解説もあり、子どもたちが「こわい」と向き合う手助けをしてくれます。同じ作者による『どうして なくの?』(偕成社)と合わせて読んでみるのもおすすめですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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かみなりのあと、停電で家の中がまっ暗になりました。おとうさんがろうそくに火を灯したとき、マックスはたずねました。「おとうさん、こわいとおもったことある?」「だれでもこわいっておもうことはあるよ」と、おとうさんは、いくつもの「こわい」について話してくれました。知らないことをこわいって感じたり、激しい言葉がつきささっておびえることもある、どうしようもなくこわくなったり、自由になるのがこわいこともある、かたいからを身につけて、こわくないふりをしている人もいる……でも、おとうさんは、最後にマックスに希望を伝えてくれます。「こわい」についての分析、解説もあります。「こわい」について改めて考えてみることで、「こわい」を受け入れることができるようになるかもしれません。
同じ著者たちによる『どうして なくの?』があります。
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