「よる いるよ」
真っ暗な景色の中、こんな言葉から始まるこの絵本。
なにがいるかと言えば。
「よる いぬ いるよ」
「よる くま くるよ」
「よる ねこ ねるよ」
いぬとくまとねこ。それだけのことなのに、なんだかとっても不思議な雰囲気が漂います。そう、これは「回文絵本」。左から読んでも右から読んでも同じ読み方になる言葉、回文だけでできている絵本なのです。でも、回文だけで物語はダイナミックに展開していけるのでしょうか。
そんな心配をよそに、絵本の中では夜の海に星がひとつ落ち、海の中から輝く虹があらわれて、いぬとくまとねこによる、見たこともない大冒険がはじまっていくのです。
「よるね はねるよ」
「のびのびの ぱしぱしぱしぱ」
夜の虹の世界は、摩訶不思議。はねたり、泳いだり、釣りをしたり、ふわふわしたり。やがて、虹の中に大きな穴を見つけて……?
回文家として人気のコジヤジコさんの文章に、何層にも重なり合わせたクレヨンの不思議な色彩が魅力的な絵を描かれているのは中山信一さん。漆黒の夜の海の世界に浮かびあがる極彩色の虹の光が、「回文」だけのまったり静かだった夜の世界を躍動させていきます。声に出して読みながら、奇妙な世界に身をゆだね、想像をふくらませていく時間は思っているよりも心地よく、なんだかクセになりそう。くりかえす日本語の音の、ふしぎな響きを体感できる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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とある夜。海にうかぶ島に、3匹の動物がいました。いぬと、くまと、ねこです。
海に星がひとつ、落ちました。すると、星の光は海からむくむくと顔をだし、かがやく夜の虹になって、空へとのびていくではありませんか!
動物たちは、のびる虹に連れられて、夜空のうえで出会いました。
「どもどもど」「やあやあや」「わんわんわ」
夜の虹の世界は、摩訶不思議。虹のうえでトランポリンみたいに跳ねたり、虹のなかでプールみたいに泳いだりと、3匹はへんてこな冒険を楽しみます。そのうちに、虹にあいた大きな穴を見つけて……?
「さかさことば(回文)」からひろがるふしぎな夜のできごとを、何層にも重なり合うクレヨンが、色鮮やかに描きだします。
夜の静けさのなかにナンセンスなユーモアがあふれる、ことば遊び絵本です。
【編集者より】::::::::::::::::::::::::::::::::
さかさことば(回文)を知っていますか?
「しんぶんし」や「たけやぶやけた」のように、左から読んでも右から読んでも、
おなじ読み方になることばのことです。
この絵本は、そんなおもしろいことばだけでできています。
くりかえす日本語の音の、ふしぎな響きを楽しんでもらえたらうれしいです。
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