うちのおとうさんは こわい。
かおが、こわい。
こえが、こわい。
ても、こわい。
いつも ふきげんで こわい。
おとうさんの「こわい」は、まだ、ある。
それは こわいはなし。
おとうさんの こわいはなしは、ほんとうにこわい!
でも、おもしろい!
おとうさんは、あたしたちを じろりとにらむ。
「いいか。これは、ほんとうに あった はなしだ――」
おとうさん、ちいさかった あたしが おかあさんに なったよ。
娘から見た、父親との思い出。
「こわい」でつむぐ、父親と娘のお話。
<かとうまふみさん この絵本にこめたメッセージ>
「おとうさんのこわいはなし」を、どうしてずっと書きたかったか、
考えてみました。
「怖いお父さん」が「こわい話」をするから子供達は『こわ〜〜い!』のである。
そして、うれしい。
だから、「怖いお父さん」のエピソードがなければ成り立たないと思っていました。
もちろん、その大前提はあるのです。
でも、それだけじゃないんです。
しんどい思い出も楽しい思い出も、別々じゃないというか、
切り離せるものじゃないんだなぁと。
善し悪しぜんぶひっくるめて、今回は受け入れたかったのだと思うのです。
どうしても絵が進まなかった時に、お父さんの故郷に行って、
母校に行ったり、話を聞いたりして。
その時に子ども時代のお父さんの寂しい気持ちがすーっと入ってきたような瞬間がありました。
あたし、お父さんのことなんにも知らなかったなぁと思って。
不思議とそのあと、絵が描けるようになりました。
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