真夜中……目をさましたのはだれでしょう?
絵本作家おくはらゆめさんが幼年童話の形で描く、「よるのまんなか」5つのかわいいおはなし。
1つめの「よるのまんなか れいぞうこ」は、台所の「れいぞうこ」が夜に目をさまし、散歩に出かけます。
お気に入りの宇宙の図鑑をもって。
お月さまと図鑑を見比べ、どこかにある星座に思いをはせて……。
そのとき空から赤い星が落ちてきて、畑で見つけたあるものを、「れいぞうこ」はそっとポケットにしまいます。
うちの冷蔵庫の中にあるのも、もしかしたら「よるのまんなか」に散歩に出て拾ってきたものかも。
そう思うとドキドキしてきます。
ほかに「よるのまんなか かまきりくん」「よるのまんなか みずたまり」「よるのまんなか あかちゃん」「よるのまんなか チューリップ」の4つ。
おくはらゆめさんが、ひかえめな色彩で、何かこっそり夜の秘密をひそませたような線で、のびのびと絵を描きます。
「もんもん ぱろるう うん ぽわか」(「よるのまんなか あかちゃん」より)といったオノマトペや、「こいしても おなかはすくさ さんまやく」の俳句(『よるのまんなか かまきり』より)など、言葉の魅力もたっぷりです。
みずたまりも、あかちゃんもチューリップも、まどろみながら誰かのそばにいて、しあわせそう。
みんなの「よるのまんなか」を想像して、わくわく、夢を見たくなっちゃう。
夜だけど、ねむりたくない子にはぜひどうぞ。
もちろん、ねむるのが好きな子にも。
どの見開きページにも絵が添えられ、本文はすべて平仮名。
はじめての一人読みにぴったりです。
小さいお子さんには、入眠前に1話ずつ読み聞かせをするのもおすすめですよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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みんながねむっている、よるのまんなか、そこには別の時間が流れている。よるのまんなかの、ささやかで心に残るな時間を描いた、5つの連作どうわ集です。さんぽにでかけて星空を見上げている〈れいぞうこ〉。恋をしてねむれなくなり、ひるとよるが逆転してしまった〈かまきりくん〉。こどもたちがにぎやかに遊んでいたようすをひとり静かに思いだしている〈みずたまり〉……。おなじ場所でも、ひるまとよるはちがう表情を見せてくれます。想像力がゆたかにふくらむ5つのおはなし。
◆編集者コメント◆
絵本『シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる』で日本絵本賞を受賞した絵本作家が、想像力がゆたかにふくらむ夜の魅力を描いたおはなし。絵も夜を表現するための特色刷りでたっぷり入ります。絵本から読みものへのステップにもぴったりのおはなしです。
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