風邪を引いて高熱を出してしまったあっちゃん。
氷を食べようと冷凍庫を開けると、いつかの雪の日に作った、うさぎのゆきだるまがあらわれた!
「あっちゃん! あいたかった!」
うさぎに導かれて冷凍庫のなかに入ると、そこは一面雪景色の世界。
パーティーをしようと言ううさぎといっしょに、雪を使ってごちそうを作るあっちゃん。
雪のたいやき、雪のにんじん、雪のケーキ、すごいごちそうがたくさん!
よろこぶあっちゃんですが、パーティーをするにはふたりじゃちょっとさびしいかも……?
やわらかな白とひっそりとにじむ青を主にして描かれた、雪の世界の景色がみどころ!
一面の雪景色なのに、そこにはうら寂しい寒々しさはなく、どこかあたたかな味わいすら感じられる光景が広がります。
雪の色がまぶしいページのなかに、あっちゃんが着るパジャマの黄色や、うさぎの目の深い青など、差し色がきりりと映えてなんともあざやか。
そして、雪で作ったごちそうがいっぱいに並んだページ!
どのごちそうも雪の色でしかないのに、とてもきらびやかでみずみずしいふしぎな印象があります。
うさぎのゆきだるまのかわいらしさにはもちろん、淡く味わい深い色づかいに、ほうとため息な一冊。
さて、ふと眠りから覚めると、すっかり熱もさがっていたあっちゃん。
うさぎとのパーティーは夢?
けれどあっちゃんは布団のなかでにこにこ。
どうやら、夢でない証拠を見つけたようです……
(堀井拓馬 小説家)
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