世界一の美食都市。
アニメ、マンガカルチャーの聖地。
独特のファッション文化の発信地。
様々な表情を持ち、歴史と未来とが同居する大都会、それが東京です!
くっきりとした輪郭線と、淡くにじむようなやさしい色味のコントラストは、どこか幻想的な雰囲気で、東京のあたらしい表情を描き出します。
雪景色の東京駅からはじまり、
満月とイルミネーションが光る銀座。
夕焼けにあかく燃えるアメ横。
夏の花火が照らし出すお台場など──
色合いや雰囲気のまるでちがう様々なランドマークを巡りながら、最後には満開の星空に沈む街を一望する、ぜいたく東京散歩!
描くのは、アニメーション美術監督として映画「あらしのよるに」や「グスコーブドリの伝記」を手がけて、絵本作家としても活躍する阿部行夫さん。
記憶の中に思い描くようにやさしく、それでいて、ワクワクと胸躍る楽しげな色合いのタッチがみどころ!
写実的ながら、見知ったはずの街さえ、あたらしく出会えた風景のように愛おしく思えてきます。
また、気軽に外出することさえできないこの時勢だからこそ、本作はより心に刺さる一冊になっています。
いつも活気にあふれ、折に触れ祭りのように沸いては、そこにいる人々を楽しませてくれていたかつての東京。
そして、この困難を乗り切ったあとに、きっと戻ってくるであろう、これからの東京。
そんな過去と未来とに思いを馳せながら読むと、切なさと希望とで、胸がいっぱいになってしまいました。
東京の多様な風景をたのしむことのできる、おすすめの一冊。
さあ、いつかの未来を先取って、東京さんぽに出かけよう!
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む