雨が降りだして、虫たちが葉っぱの下で雨宿り。
「みなさーん、あめの ひの おでかけは いかがですかー。 おいそぎでない かたは どうぞ ごじょうしゃくださーい。」
虫たちは、でんでんでんしゃに飛びのります。でんでんでんしゃは、ゆっくりゆるーん。歩いていくより遅くて、ケロケロタクシーが追い越していきます。光るしずくのそばをそろーり通り、葉の上や葉の下や、蔓がすべるつるつる峠をぐるぐるめぐり、時には道に迷って戻ることもあるけれど、でんでんでんしゃの進む道はどこも本当に素敵なのです。さあ、クライマックスはあじさいトンネル。晴れた空みたいなきれいなトンネルを抜けると……。
雨の日限定、ゆるるーゆるるるんと進むでんでんでんしゃ。急いでいない人だけが楽しめる特別なお出かけ。独自の視点から多彩な作品を生みだす林木林さんと、その世界を愛らしく詩情たっぷりに描き出すひがしちからさん。二人の人気絵本作家が繰りだすのは、ささやかだけれど美しく輝く憧れの風景。退屈な雨の日こそ、絵本を開いてゆったりした時間を楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
しずくが光るぽたぽた橋、蔓がすべるつるつる峠、葉の上、葉の下、あじさいトンネル……でんでんむしの電車は、ゆっくりのんびり走っていきました。独自の視点から多彩な作品を発表している林木林と、想像の世界を色合いと構成力で巧みに表現するひがしちから。二人の人気絵本作家の詩心がこもった作品です。
でんでんむしの電車に乗って
ゆるりと景色を味わいながらの移動。
ときどき道まちがいなんかもあって
沢山の景色を見ることができて・・。
なんてことのない
ページを繰るたびに景色が変わる
移動系の絵本なんですけど
そのストーリーは
昔の自分を思い出すようでした。
忙しい日常から
出産のために突如、生活のスピードが遅くなる・・。
全て子どもの都合に合わせて
移動も徒歩で・・・。
でも
今まで気づきもしなかった野の草花や
ちょっと寄り道した裏路地に意外なものを見つけたり・・と
視点が変わり
そしてそれは、自分の価値観が変わっていく不思議な体験でした。
効率がいいことが求められる世の中に
一石を投じるような
心豊かになる一冊です。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子19歳)
|