桜の花びらがひらひら落ち、道が花びらでいっぱいになる頃、じっちょりんたちはある場所へと移動をはじめます。それは、「おいわい」をするためです。どんなおいわいなのでしょう。
児童館の片隅で暮らす小さなじっちょりんかぞく。パパじっちょりんに、ママじっちょりん、おにいちゃんじっちょりんに、いもうとじっちょりん。じっちょりんは、花やはっぱを食べるけど、種だけは食べません。大事に植えて歩くのです。そんなじっちょりんたちが誕生したのが、この時期なのです。
「たんじょういわいは、どこでするの?」
「おおきな さくらのきを めざすのよ」
しばらく過ごした場所から、次の場所へ出発です。前に植えた種が花を咲かせている様子を確認しながら、また新たな種を植えていきます。休憩中もママじっちょりんはよく食べます。なぜなら、お腹の中に赤ちゃんがいるから! さあ、大きな桜の木が見えてきましたよ……。
私たちの足もとで暮らす、小さなじっちょりんたちのお話が、8年ぶりに戻ってきました。どうやら春は、じっちょりんたちにとって特別な季節。春になるとソワソワしてくるのは、私たちだけじゃないみたい。人知れず盛大な「たんじょういわい」の準備をするじっちょりんとその仲間たちの様子を、私たちは絵本を読みながらそっと見守ることができます。彼らの様子を思い出すだけでも、ワクワクした気持ちになってきますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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