パップという名の犬
- 著:
- ジル・ルイス
- 訳:
- さくま ゆみこ
- 出版社:
- 評論社
絵本紹介
2023.02.17
人間の行動や生き方は、よく「道」に例えられます。
例えばドイツの詩人ゲーテは、こんな言葉を残しています。
“自分自身を信じてみるだけでいい。
きっと、生きる道が見えてくる。”
こんな言葉を残すくらいですから、ゲーテもきっと人生に悩んだことがあるのでしょう。だれでも一生のうち一度くらいは、「自分はなにをしたいんだろう、なにができるんだろう」と人生の意味を考えたり、「これからどうやって生きていったらいんだろう」と悩むこともあると思います。そんな時に助けになってくれるのが、自分ではない誰かの人生、生きざまをつづった物語。
自分と同じような境遇に置かれたキャラクターに共感し、その考えを知ることで自分を見つめ直すことができたり、逆にまったく違う生き方をしてきた人や動物への憧れが、自分自身の夢につながったりと、物語は私たちにたくさんの感情と、ひらめきや目標を与えてくれます。
ここで紹介する6冊の豊かな物語から、ぜひあなたの人生にプラスとなる“なにか”を見つけてみてください。
出版社からの内容紹介
ジャーマンシェパードの雑種パップは、まだ数か月の子犬だが、体が並外れて大きい上に吠え癖があるため、人間に捨てられ、愛する少年とも引き離されてしまった。途方に暮れるパップを助けてくれたのは、フレンチブルドッグのフレンチだった。フレンチの仲間になり、七匹の捨て犬たちと群れをつくって生きることになったパップ。人間嫌いのピットブル、人間と犬の絆を信じるラブラドール、群れのリーダーの小型犬レディ・フィフィなど、個性豊かな犬たちが登場する。人と犬の間には、本当に「聖なる絆」があるのだろうか? ふたたび少年にめぐりあえる日は来るのだろうか? 動物をテーマに物語をつむぎつづける作家、ジル・ルイスの力のこもった新作。
この書籍を作った人
東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。
この書籍を作った人
1937年、長崎市に生まれる。慶応義塾大学図書館学科卒業後、ボストンのシモンズ・カレッジの大学院で図書館学を学ぶ。その後、ニューヨーク公共図書館児童室に勤務。1968年、神戸市に「鴨の子文庫」を開いて現在に至る。兵庫県子どもの図書館研究会会員。訳書に、エッツ『もりのなか』(福音館書店)、マリノ『くんちゃん」シリーズ(ペンギン社)、ジオン『あっ おちてくる ふってくる』(あすなろ書房)、『詩集 孔雀のパイ』(瑞雲舎)、共訳に『ストーリーテラーへの道』(日本図書館協会)、『つばさの贈り物』(京都修学社)等など多数。
この書籍を作った人
愛知県生まれ。『神隠しの教室』(童心社)で第55回野間児童文芸賞受賞。主な作品に『先生、しゅくだいわすれました』『二年二組のたからばこ』『がっこうかっぱのイケノオイ』『くつ、かくしたのだあれ?』「ポケネコにゃんころりん」シリーズ(以上、童心社)『夜間中学へようこそ』(岩崎書店)『今、空に翼広げて』(講談社)など多数。日本児童文学者協会会員。
この書籍を作った人
1968年、兵庫県に生まれる。主な絵本の作品に、『ねこのピカリとまどのほし』(あかね書房)、『イモムシかいぎ』(小学館)、「こぶたのブルトン」シリーズ(アリス館)、『いっぽんみちをあるいていたら』(ひかりのくに)、さし絵の作品に、『とっておきのはいく』(PHP研究所)、『ケンタのとりのすだいさくせん』(文溪堂)、『からすとかばのかいすいよく』(理論社)など多数ある。音楽と朗読の会や、絵本作りワークショップなども開催している。
この書籍を作った人
1959年東京都に生まれる。児童文学作家。『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会賞新人賞、小学館文学賞受賞、『小さなスズナ姫』シリーズで新美南吉児童文学賞を受賞、『空へつづく神話』でサンケイ児童出版文化賞受賞、『やまんば山のモッコたち』でIBBYオナーリスト2002文学賞に、『盆まねき』で野間児童文芸賞を受賞。「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)、「シノダ!」シリーズ(偕成社)、「内科・オバケ科 ホオズキ医院」シリーズ(ポプラ社)、「やまんばあさん」シリーズ「妖怪一家 九十九さん」シリーズ(理論社)、YA作品に『ふたつの月の物語』など、著作は多い。
この書籍を作った人
1977年埼玉県に生まれる。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン科卒業。在学中は、漫画研究会に所属。第2回「創作キャラコン学生大賞」ほのぼのキャラ大賞受賞。さし絵に『ほこらの神さま』『公平、いっぱつ逆転!』『下からよんでもきつねつき』、「大あばれ山賊小太郎」シリーズ、「内科オバケ科ほおずき医院」シリーズなど。
みどころ
朝早くから準備を始め、てきぱきと仕事をこなし、開店と同時に毎日楽しみにしているお客さんにパンを届ける「パン職人」。ビシッと制服に身を包み、約1300人の乗客を乗せ、時速285qのスピードで東海道新幹線を走らせる「新幹線運転士」。大学のキャンパスの一室で、自分の打ち出すテーマについて実験や分析を続け、論文にまとめていく「研究者」。
颯爽と仕事に打ち込むその姿には、誰もが憧れてしまいます。でも、彼らはいったいどうやって「自分のしごと」を見つけていったのでしょう。
大人気「しごとば」シリーズの作者鈴木のりたけさんが、新たに取り組んだ読み物シリーズ「しごとへの道」。さまざまな職業の人を取材し、その職業を紹介する内容からさらに一歩深く進み、子ども時代から現在まで、どのような人生を歩んできたのかを、コマ割りのコミック仕立てで描き出します。
読み始めると、どの人のストーリーにもあっという間に引きこまれてしまうのは、その道のりが決してまっすぐきれいな一本道にはなっていないから。大きなまわり道をしたり、前が見えなくて悩み続けていたり、挫折を味わったり、紆余曲折、十人十色。人生を変えてくれた言葉や人と出会いの中で、働くことの面白さや喜びを見つけていく様子には、子どもから大人まで、どんな立場の人の心にも大きく響くものがあるのです。
「しごとへの道はひとつじゃない!」
自分の夢を見つけることや、自分の道を進んでいくことは、簡単なことではありませんよね。でも、だからこそ、こんな風にリアルで魅了的に描かれた人たちのストーリーが、読む人の背中を押してくれるはず。熱くて濃密な、鈴木のりたけさんの新境地。また続きが楽しみになるシリーズの誕生です。
この書籍を作った人
1975年、静岡県浜松市生まれ。会社員、グラフィックデザイナーを経て、絵本作家に。『ぼくのトイレ』(PHP研究所)で第17回日本絵本賞読者賞、『しごとば東京スカイツリー®』(ブロンズ新社)で第62回小学館児童出版文化賞、『大ピンチずかん』(小学館)で第6回未来屋えほん大賞・第13回リブロ絵本大賞・第15回MOE絵本屋さん大賞を受賞。また2022年に第2回やなせたかし文化賞を受賞した。ほかの作品に『おしりをしりたい』(小学館)、『す〜べりだい』(PHP研究所)、『ねるじかん』(アリス館)など多数。