にこにこモンツキカエルウオ
- 写真・作:
- 黒部 ゆみ
- 出版社:
- フレーベル館
絵本紹介
2025.06.19
真っ青な空、照りつける太陽、耳に響くセミの声。流れる汗をぬぐいながらシャキシャキのかき氷を思い浮かべてはのどを鳴らして……猛暑はキツイとわかっているけれど、それでもしとしとジメジメの梅雨時期は心から夏が恋しい、待ち遠しい!プールに海水浴、キャンプや花火、さぁ今年はどんな夏にしましょうか!
海や山の絵本を開いて、夏の計画に思いを馳せるのも楽しい時間。
『にこにこモンツキカエルウオ』は聴き慣れない魚のモンツキカエルウオ・もんちゃんが恋に落ち結婚をしてお父さんになるまでを追った写真絵本。ふだん見ることのできない海の生きものたちの世界をのぞくことができます。
卵として土に生まれ、命をつなぐために限られた時間を懸命に生き抜くアブラゼミの一生を描いた『せみの みんちゃん うまれたよ!』は、読んだ後、きっとアブラゼミへのまなざしが変わるはず。
まぶしい陽射し、漂うにおい。トンネルをくぐり駆け抜けたその先には……『なつだね』は主人公が五感で感じる夏のはじまりを追体験できる一冊です。
首を長くして待つそのひとときも期間限定。絵本に夢中になっている間に、夏はすぐそこまできています!
出版社からの内容紹介
夏の身近な虫、アブラゼミが主人公!
夏の短い間しか見られないアブラゼミが、そのときのために何年もかけて大きくなる様子。ほかの種類のセミのこと。ふしぎなあかちゃんの誕生……。
たくましく生きるみんちゃんの姿に心が動かされ、セミが愛おしくなる1冊です。
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しとしと雨があがった夏のはじまり。
しっとりした土の上に、せみのあかちゃんが木からぽとんとおちてきました。
みんちゃんです。
土をほるのがじょうずなみんちゃんは、木の根っこをさがして汁をすいながら、土の中で何年もくらしました。
そして、ある夜、とうとう外に出て、茶色い羽がかっこいいアブラゼミに!
「そとで くらせる じかんは みじかいの。そのあいだに たまごを うむために、ちからを つけなくちゃ」
みんちゃんは敵に気をつけながら、細長い口を木につきたてて、毎日いっぱい汁をすいました。
いのちを終える前に、みんちゃんはどんなたまごをうむのかな?
みんちゃんをおうえんしたくなります。
この書籍を作った人
1986年東京都生まれ。和光大学表現学部芸術学科卒業。2007年に長野で牛にかこまれたときの衝撃から、生き物と目があった瞬間の「見たら見られた」をテーマに木版画を制作している。個展、グループ展での発表も多数。2017年『マンボウひまな日』(絵本館)で絵本作家デビュー。主な作品に『みたらみられた』(アリス館)、『あめちゃん』『きょうは泣き虫』(以上、好学社)、『うみのあじ』(あかね書房)、『だんだん だんだん』(ひさかたチャイルド)がある。
出版社からの内容紹介
「ベゴ」という名前は、稜のある石どもがつけた名前だ。石どもは、退屈な日には、みんなでベゴ石を、からかって遊んでいた。石どもばかりではない。くうんくうんと飛んできた蚊までもが、「どうも、この野原には、むだなものが沢山あっていかんな。たとえば、このベゴ石のようなものだ。ベゴ石のごときは、何のやくにもたたない。」 と馬鹿にするのだ。ところが、ある日のこと…… “内に光るもの”をもつものは、いずれその光を発揮する……。やわらかく、芯のある銅版画で田中清代さんが絵本化。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 田中清代 1972年、神奈川県生まれ。多摩美術大学絵画科卒業。油絵と版画を学ぶ。1995年ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞受賞。1996年同展入選。
1997年「みずたまのチワワ」(井上荒野/文 福音館書店)で絵本作家としてデビュー。主な作品に「トマトさん」(福音館書店)「おきにいり」(ひさかたチャイルド)「おばけがこわいことこちゃん」(ビリケン出版)「ねえ だっこして」(竹下文子/文 金の星社)「いってかえって星から星へ」(さとうさとる/文 ビリケン出版)「ひみつのカレーライス」(井上荒野/作 アリス館)「白鳥の湖」(石津ちひろ/文 講談社)「どんぐり、あつまれ!」(さとうさとる/文 あかね書房)「小さいイーダちゃんの花」(アンデルセン/原作 フレーベル館)などがある。
この書籍を作った人
1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。十代の頃から短歌を書き始め、その後、農業研究家、農村指導者として活動しつつ文芸の道を志ざし、詩・童話へとその領域を広げながら創作を続けた。生前に刊行された詩集に『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』がある。彼の作品の殆どは没後に高く評価され多数の作品が刊行された。また、何度も全集が刊行された。1933年に37歳で病没。主な作品に『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『注文の多い料理店』『どんぐりと山猫』『よだかの星』『雪渡り』『やまなし』『セロひきのゴーシュ』他多数。
この書籍を作った人
1972年生まれ。絵本作家、銅版画家。多摩美術大学絵画科にて油絵と版画を学ぶ。1997年「みずたまのチワワ」(井上荒野/文)の出版以来、絵本を中心に制作。『くろいの』(偕成社)で、第25回日本絵本賞大賞、第68回小学館児童出版文化賞を受賞。主な絵本作品に『おきにいり』(ひさかたチャイルド)、『おばけがこわいことこちゃん』(ビリケン出版)、『ねえ だっこして』(金の星社)、『トマトさん』(福音館書店)他多数。
この書籍を作った人
1960年生まれ。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はシェイクスピア。訳書にナルニア国物語やドリトル先生、赤毛のアンといった児童書向けシリーズ、ポー傑作選、シェイクスピア戯曲の新訳(すべてKADOKAWA)、『若い読者のための文学史』(すばる舎)など、著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、『シェイクスピア 人生劇場の達人』(中央公論新社)などがある。
みどころ
表紙から読み始めると、あれ?!
途中でユニークなつくりになっていることに気がつきます。
表紙から読むと羊飼いの物語。
裏返して裏表紙から読むと、狼の物語。
それぞれの立場から見る「わたしのやま」が語られます。
ふたりが見ている山は同じはずなのに、その風景はかなり印象が違います。
視点が違うと、同じものも違う意味を持つのです。
でももっと不思議なのは、それぞれのセリフが、一言一句同じだということ。
訳者の谷川俊太郎さんは、
「人間の立場と狼の立場が、<いのち>の眼で見れば同じという真実を、テキストとレイアウトのアイデアに溢れた工夫で、シンプルに描き出しているところが新鮮です。」
とコメントしています。
「人間にとって、きけんってなんだろう?」
「オオカミがおそれるものは?」
「人間とオオカミは、敵なの?味方なの?」
と、いろいろ考えさせられる作品です。
他者の立場になってものを考えるという体験は、子どもにとっても大人にとっても大切なこと。
ぜひ子ども大人も一緒に読んで、大いに語り合ってみてください。
この書籍を作った人
1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳など幅広く活躍。1975年日本翻訳文化賞、1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞。ほか受賞多数。絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これはのみのぴこ』(サンリード刊)、『もこもこもこ』(文研出版)、「まり」(クレヨンハウス刊)、「わたし」(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。翻訳作品も多数。
文/竹原雅子 編集/木村春子