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日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?

日・中・韓平和絵本 へいわって どんなこと?(童心社)

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注目の新刊&オススメ絵本情報

2021/03/09

【連載】東日本大震災から10年。「あの日」を伝える絵本&児童書

【連載】東日本大震災から10年。「あの日」を伝える絵本&児童書

もうすぐ東日本大震災から10回目の3月11日がやってきます。今年は、東日本大震災に関する作品が多く出版された年でもありました。これからの子どもたちに伝えていきたい、残していきたい作品をご紹介します。
★新刊★10年間の保育所慰問を経て生まれた「あの日」の絵本。
宮城県仙台市に生まれ、東日本大震災から10年に渡り、被災地の保育所慰問を続けてきた、あいはらひろゆきさん。「震災の記憶が風化しかねない今こそ、子どもたちに語り継がなければならない」と筆を取り生まれたのがこの絵本です。
10年間の保育所との交流の中で聞いた、震災当時の様子を真摯に、そして忠実に描いた物語に絵で答えるのは、「たあ先生」としてあいはらさんとタッグを組む、画家のちゅうがんじたかむさん。ちゅうがんじさんの新たなタッチもみどころのひとつです。

笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話 笑顔が守った命〜津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話」 作:あいはら ひろゆき
絵:ちゅうがんじ たかむ
出版社:サニーサイド

東日本大震災当日、仙台市中野栄あしぐろ保育所で実際に起きた愛と勇気の実話。大津波に襲われた保育所で150人の子どもたち全員を必死で守り抜いた保育士たちの感動の物語。今年2021年は東日本大震災からちょうど10年。ともすれば震災の記憶が風化しかねない今こそ、子どもたちに語り継がなければならない命の物語。



●被災地へ燃料! 実話を元にしたディーゼル機関車の物語。
震災直後、東北に石油や灯油を届けるために活躍したのが、電気を使わず、軽油で動く「ディーゼル機関車」でした。このおはなしは、ディーゼル機関車の「デーデ(DD51 852)」を主人公に、全国から集められたディーゼル機関車たちが、新潟から福島の郡山へと走った実話を元に生まれました。すとうあさえさんの丁寧な取材によるストーリー構成と、鈴木まもるさんのディーゼル機関車たちの精巧なタッチが力強い印象を与えてくれる一冊です。

はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ」 文:すとう あさえ
絵:鈴木 まもる
出版社:童心社

東日本大震災の直後の実話が基になった絵本。ディーゼル機関車の物語をとおして、人のあたたかさを伝えます。

3.11の東日本大震災直後、東北本線、東北新幹線、東北自動車道が不通となり、東北への輸送が絶たれました。燃料を運ぶため、全国から集まったディーゼル機関車たち。雨と雪のなか、人びとの待つ郡山を目指します。



★新刊★ちいちゃい体でみんなを励ます「さんてつ」10年の物語。
震災で大きな被害をうけた三陸鉄道の様子は、震災直後からニュースで私たちの目に飛び込んできました。しかし、震災5日後には一部運転を再開した三陸鉄道は、近隣に住む住民を勇気づけ、沿線の町に希望をもたらしたのです。その姿を方言を交えて表現した絵本がこの『リアスのうみべ さんてつがゆく』です。作者のうべきょうこさんと、絵を描かれたさいとうゆきこさんは、共に岩手県在住。お二人が描く「さんてつ」10年の物語を手に取ってください。

リアスのうみべ さんてつがゆく リアスのうみべ さんてつがゆく」 作:宇部 京子
絵:さいとう ゆきこ
出版社:岩崎書店

ガッタン ゴットン ポッポ─!
ちっちゃいからだでみんなをはげまし、力強く走りつづける「さんてつ(三陸鉄道)」の姿を描く、東日本大震災から10年のものがたり。


★新刊★大人気!「まえとうしろ どんなくるま?」シリーズ最新刊!
子どもたちが大好きな働く車を、「前面」「後面」「横面」の3つの視点から描くことで、全体をじっくり見られることが人気の「まえとうしろ どんなくるま?」シリーズ。3月に発売されたばかりの最新刊は、「働く車」という観点から、災害を改めて考えることができる一冊。
陸でも水の中でも活動できる車(中型水陸両用車)や、渡れなくなった川に橋をかける車(81式自走架柱橋)など、災害が起きたときに活躍する車7種類を取り上げています。さらに、車と一緒に働く人々の姿も、細かく丁寧に描かれているのも特徴のひとつ。車と共に、働く人の姿を描くことで、よりその車の特徴が引き出され、リアリティをもって働く車の役割を伝えてくれます。

さいがいで かつやくする くるま さいがいで かつやくする くるま」 作:こわせ もりやす 出版社:偕成社

くるまのまえとうしろ、ちゃんとみたことある?
これ、どんなくるま?
車の「前面」「背面」、そして「横面」や車と働く人をばっちり見られるシリーズの4巻目。今回は、災害がおこったときにかけつけて、みんなを助けてくれる車が続々と登場します。

<この本にでてくるくるま>
・救助工作車 ・中型水陸両用車(レッド・バスティオン) ・排水ポンプ車 ・81式自走架柱橋 ・スーパーアンビュランス(特殊救急車) ・給水車 ・野外炊具 など



●少年の目を通して「あの日」を描いた葉祥明さん。
震災後、10年の間に多くの絵本作家さんが被災地への思いや子どもたちへのメッセージを、絵本を通して発信し続けています。葉祥明さんの描いた『あのひのこと――Remember March 112011』もそのひとつです。
葉祥明さんの特徴でもあるパステル調の澄んだ明るいタッチはなりを潜め、グッと抑えられた色彩が、「あの日」の出来事をより一層印象に残します。英訳付きなので、外国の方にも手に取りやすい一冊です。

あのひのこと――Remember March 112011 あのひのこと――Remember March 112011」 作・絵:葉 祥明 出版社:佼成出版社

ひとりの少年を通して描く、3月11日のこと。

2011年3月11日に発生した東日本大震災。津波の恐怖、ひとりぼっちで迎える不安な夜、そして家族との再会――と、
ある少年が体験した「あのひのこと」を軸に、家族の絆に支えられ、希望の光を見出すまでを繊細なタッチで描きます。
想像をはるかに超える恐怖と不安を経験した少年が見つけた“希望”とは……?
家族の愛、絆の深さ、尊さに改めて気づかせてくれる作品です。英訳付き。

●ここがポイント
・東日本大震災の絵本
・家族の絆の大切さ
・いのちの尊さ

●編集者から
2011年3月11日は、私たちにとって生涯忘れられない日となりました。
大地も人も動物も、そして社会も生活も、深く傷つきました。

「この苦しみをいかにして乗り越え、生き続けるか――」。
このことについて、著者の葉祥明さんと何度も話し合い、ひとりの少年にメッセージを運んでもらうことにしました。
少年が見たこと、感じたこと、そして最後に見い出す希望とは……?

美しいパステルカラーの印象が強い葉祥明さんですが、
今作品では、今までのイメージとは異なる画風も披露しています。
今作品を通して、ひとりでも多くの人が希望の光を見い出してくだされば幸いです。


●岩手県大槌町にある電話をモデルに絵本を描いたいもとようこさん。
岩手県大槌町にある「風の電話」。2011年に、大槌町在住のガーデンデザイナー・佐々木格さんが自宅の庭に設置したもので、電話線のつながっていないひとつの電話は「天国に繋がる電話」として、今も多くの人の来訪を受け入れています。ニュースにも多く取り上げられ、映画や曲にも取り上げられた「風の電話」を絵本のモデルにしたのは、日本を代表する絵本作家のいもとようこさんです。いもとさんの描く赤い電話にやってくるのは、たぬきのぼうややうさぎのお母さん、そしてきつねのお父さん。動物たちが電話に向かって話していることとは……。これからも長く読み継がれていってほしい作品です。

かぜのでんわ かぜのでんわ」 作:いもと ようこ 出版社:金の星社

つたえて、あのひとに・・・・・・
岩手県大槌町にある「風の電話」。線はつながっていない・・・・・・。電話にこめられた「想い」を絵本に。

山の上に置かれた電話。だれもが自由に使えて、今はそばにいない人と話すことができます。でも実はそれは電話線のつながっていない電話でした。
岩手県大槌町に東日本大震災のあと設置された風の電話ボックスをモデルにした絵本。

●「美しい福島を多くの人に知ってほしい」と再版された名作絵本。
「こぐまちゃんえほん」シリーズなどで有名なわかやまけんさんが1980年に福島を舞台に描いた『あかべこのおはなし』。会津磐梯山に古くから愛されてきた郷土玩具「あかべこ人形」が主人公の作品です。1981年に、サンケイ児童出版文化賞推薦作品でしたが、1991年以降、絶版となっていました。2011年、東日本大震災発生以降、美しい福島を多くの人に知ってほしい、少しでも福島の人たちの励みになれば……という願いにより、20 年ぶりに復刊され、話題となりました。

あかべこのおはなし あかべこのおはなし」 文:わだ よしおみ
絵:わかやま けん
出版社:こぐま社

会津若松の民芸品店で生まれたあかべこは、もみじ色に染まった美しい磐梯山を見つめるうち、
自分と同じ真っ赤な色をした雄大な山に、どうしても行きたくなります。
そこで、「山へつれてって」と動物たちに頼むのですが、やがて自分の足で歩き始めて…。
日本の風物をふんだんに織り込んだ絵本です。

全国学校図書館協議会選定
第28回産経児童出版文化賞推薦


●大人にも読んでほしい、ノンフィクション児童文学。
震災10年を迎え、多くの人々がそれぞれの活動の場から「3.11を忘れない」というメッセージを発し続けています。それは子どもたちだけでなく、大人も受け止めていきたいメッセージです。大人にもオススメな児童文学の中から、ノンフィクション読み物2作品をご紹介します。

かがやけ!虹の架け橋 ー3.11大津波で3人の子どもを失った夫妻の物語ー かがやけ!虹の架け橋 ー3.11大津波で3人の子どもを失った夫妻の物語ー」 著:漆原智良 出版社:アリス館

東日本大震災で、わが子3人を失った夫妻。生きる望みを失いかけたふたりを支えたのは、木工遊具「虹の架け橋」だった。人が悲しみに直面しながらも生きていく姿を描く、著者渾身のノンフィクション。

響け、希望の音 東北ユースオーケストラからつながる未来 響け、希望の音 東北ユースオーケストラからつながる未来」 著:田中 宏和 出版社:フレーベル館

「被災した子どもたちの音楽をすくいたい」音楽家・坂本龍一の願いから生まれた、東日本大震災の被災地の子どもたちで結成された「東北ユースオーケストラ」。希望の音色を全国に響かせてきたその歩みを追う。

★3月の新刊&オススメ絵本動画公開中!

※掲載されている情報は公開前のものです。

木村春子(絵本ナビ)

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