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【連載】デビュー20周年記念連載 みんな大好き! なかやみわさんの絵本絵本ナビ 2018/03/15
なかやみわさんは、2017年に1年かけて、3つの人気シリーズの新刊を出版されました。
第2回目は、なかやみわさんのシリーズ最新刊を紹介するとともに、現在、シリーズ化されている作品の、誕生秘話を伺いました。
●「そらまめくん」シリーズ
大人気絵本『そらまめくん』シリーズ最新刊
―― 前回、『そらまめくんのベッド』の出版までの経緯を伺いました。そもそも、「そらまめくん」というキャラクター自体が、とても斬新なキャラクターだと思うのですが、どうしてそらまめをキャラクターに絵本を作ろうと思ったのですか?
そらまめくんのキャラクターは、私がキャラクターデザイナーをしていたときに、コンペ用に作ったキャラクターなんです。 当時は「そらまめ」と限定していなくて、豆に手足を描いたキャラクターでした。自分でもお気に入りのキャラクターだったので、絵本のダミーを作って、絵本の講座に持って行ったんです。 同じ時期に作ったほかの絵本はあまり反応が良くなかったのですが、この絵本は周りの受講生にも評判が良くて、「面白いから、この作品は大事にしなさい」と先生に言っていただいたのを覚えています。
―― それまで作っていた作品と、『そらまめくんのベッド』の違いは何だと思いますか?
そうですね……。最初のころは、絵本について分からないなりに「絵本とは、主人公が子どもで、物語がしっかりとしていて、それに絵がついているもの」という、固定概念みたいのがあったんだと思います。 でも、それに沿って作った作品は、あまり周りの人が面白いと言ってくれなくて、そらまめくんのキャラクターが立っている『そらまめくんのベッド』の方が、反応が良かった。 私も早く絵本作家としてデビューしたかったので、みんなが面白いと言ってくれるものを追求していこうと、途中から考えを変えて直していったのが、結果的に良かったのかもしれません。
●「くれよんのくろくん」シリーズ
―― 『くれよんのくろくん』も、「くろくん」のキャラクター設定から生まれた絵本なのですか?
私は絵本を描くとき、おはなしに一番適した絵を描くようにしているため、必然的に絵のタッチを変えているのですが、「くろくん」のときは、まず、どんな画材で描こうか、持っている画材を確認しました。 すると、その中に、私が子どものころ使っていたクレヨンの箱があったんです。ふたを開けてみると、好きな色と、好きでない色のクレヨンの減りが全然違うことに気づきました。 そこから、使われていないクレヨンを活躍するおはなしを描きたいと思い、作りはじめました。
―― 『くれよんのくろくん』も、「そらまめくん」同様、シリーズ化する予定があったのですか?
「そらまめくん」も「くろくん」も最初はシリーズ化になるなんて思わずに、作品を作っているんです。
―― そうなんですか?
読者の方から、「続きを読みたいです」というご要望をいただいて、はじめて続編を描けることになります。そういう意味では、読者の方の感想が、作品を作り続ける力になっているのです。 ただ、私はキャラクターデザイナーだったときの経験から、ひとつのおはなしを考えるとき、そこに出てくるキャラクターの性格や家族構成、世界観など、細かい設定を考えてから描きはじめます。 1冊作ると、そこにいろいろな設定が生まれるので、続編の希望をいただいたとき、比較的スムーズに続編を考えられるということはあるかもしれません。
―― 「くれよんのくろくん」も、シリーズが続くにしたがって、ほかのクレヨンの性格などが少しずつ分かってくるのが楽しいですよね。
先ほど、新しい作品を考えるとき、画材から決めると伺いましたが、『くれよんのくろくん』は何の画材を使っているんですか? 背景や、くろくんたちが描く絵はクレヨンを使っています。 それ以外は、ペンと色鉛筆。くろくんたちの体の紙の部分は、クレヨンの巻紙の質感を出したかったので、テクスチャーのある紙を貼っています。
―― 貼り絵も使っているなんて、なかなか気づかないですよね。
そうですね。原画を見ても気づくのは難しいと思います。 「くれよんのくろくん」は、「描く楽しさ」を子どもたちにも感じてほしいと思って描いているのですが、こんなに続くシリーズになるとは思わなくて、読者の方が育ててくれた作品という印象が強いですね。
―― 読者が好きな画材を使って、絵本の中に描き込んで楽しめる、『くろくんたちと おえかきえんそく』は、読者と一緒に作り上げる作品の集大成という感じがします。
そうですね、『くろくんたちと おえかきえんそく』は童心社さんから発案された企画だったのですが、「くろくん」というキャラクターと読者のニーズがピタリと合っていたから実現した作品だと思います。
●「やさいのがっこう」シリーズ
―― 「やさいのがっこう」は、なかやさんの作品の中でも新しいシリーズですね。
1作目の『やさいのがっこう とまとちゃんのたびだち』が2016年、『やさいのがっこう ピーマンくんゆめをみる』が2017年。そして、最新刊『やさいのがっこう とうもろこしちゃんのながいかみ』が2018年に出版されました。
―― 「やさいのがっこう」シリーズのキャラクターは、今までと少し違う作り方で誕生しているんですよね。
はい。「やさいのがっこう」シリーズに登場するキャラクターは、元は食器のキャラクターでした。 でも、このキャラクターがとても気に入っていたので、いつかこの野菜たちで絵本を作りたいと思っていました。 そんなとき、白泉社の編集者さんがこのキャラクターをとても気に入ってくださり、「やさいのがっこう」シリーズをスタートさせることができました。
―― 美味しくなるために、畑にいる野菜たちが通っている「学校」という設定がとても面白いと思いました。どうして学校という場を登場させようと思ったのですか?
農家の方たちは、美味しい野菜を育てるために、水を与えたり肥料を考えたりしていますよね。 それを、野菜側から見たとき、畑はとびきりおいしい状態になるための方法を学ぶところなんじゃないかと思ったんです。 そういった考えのもと、「学校」を舞台にしました。 「やさいのがっこう」に通って、一生懸命おいしくなるために努力して、最終的には八百屋さんの店頭に並ぶ……。 そんなおはなしをそれぞれの野菜で考えたら、面白いんじゃないかと思いました。
―― シリーズ3作目は、どんなおはなしなのでしょうか?
とうもろこしちゃんは、長い髪の毛が特徴の女の子です。でも、長すぎて、顔と背中がどちらか分からなかったり、髪を踏んで転びそうになったりといろいろ不便に感じています。思い切って切ろうとするけれど、なすび先生に止められてしまいます。 困り果てたとうもろこしちゃんを、やさいのがっこうの仲間たちがアイディアを出して助ける……というおはなしなのですが、この絵本には、1作目、2作目に登場した、とまとちゃんやピーマンくんも出てくるので、シリーズ通して好きな方には特にオススメです。
●「どんぐりむら」シリーズ
―― 「どんぐりむら」シリーズは、絵本ナビにとっても、毎年新刊が出版されるたびにインタビューをさせていただいた、思い入れが深い作品です。
ありがとうございます。「どんぐりむら」は、最初から年1冊刊行のシリーズという形でスタートした、とても珍しい作品なんです。
―― お話を伺うと、シリーズになることの大変さをとても感じました。そんな中で、シリーズ化がすでに決まっていてスタートする作品というのも、かなりプレッシャーだったのではと思います。
最初、シリーズ化のお話を聞いたとき、「このボリュームで毎年ですか?」と、私もビックリしました。 でも、引き受けたからには、できませんでしたとは決して言いたくなかったので、1年間のスケジュールをきちんと組んで、この作品と向き合っていきました。
―― 毎年、インタビューをさせていただくころには、すでに次の作品の制作に入っていたんですよね。
「どんぐりむら」は、毎年秋の刊行だったのですが、年内には次の作品のおはなしを考えて、翌年の2月くらいには、完全なラフを仕上げて、5月のゴールデンウィーク明けくらいに原画を完成させる。 そのあとに見返しのふろくや、絵本に挟んである「どんぐり新聞」を作っていました。 最終的に色校を確認して、全部が手を離れるのが8月くらい。 それから1カ月くらいで、すぐ次回作の職業を考えます。
―― 超過密スケジュールですね……。「どんぐりむら」シリーズは、取り上げる仕事について、なかやさんがしっかり取材をされ、調べてから描かれているというのも、読者に支持される理由だと思いました。
そうですね。どんぐりについても、いろいろ調べて描いていますが、いろいろな職業の方に直接お話を伺って、作品を作れたということも、私の中で新しい試みだったと思います。
―― 園の先生や、パン屋さんなど、実際にお仕事をされている方からの感想も多かったのではないですか?
本当に、どんぐりの粉を使ってパンを作っているパン屋さんから、パンが送られてきたこともありました(笑)。 『どんぐりむらの どんぐりえん』を出版したときは、たくさんの保育士さんから、「園のことをよく分かっていらっしゃいますね」と感想をいただきました。 あと、一番印象的だったのは、ある田舎の駐在員をしている方の奥さんが、『どんぐりむらの おまわりさん』をお子さんと読んで、「この絵本に出てくるおまわりさんは、うちの夫そのものです」って感想を送ってきてくれたこと。 実は、『どんぐりむらの おまわりさん』は「どんぐりむら」シリーズで唯一、取材ができなかった職業なんです。 だから、いろいろ資料を取り寄せて読んだんですけど、やっぱり、本当のおまわりさんが身内にいるご家族から、そういう感想をいただけたことで、正直、ホッとしました。
●「こぐまのくうぴい」シリーズ
―― 「こぐまのくうぴい」シリーズは、なかやさんご自身の子育て経験が、作品に生かされている作品なんですよね。
はい。「しつけ」をテーマにした絵本がたくさん出版されているのは知っていましたが、実際に子どもが生まれるまで、しつけ系の絵本にあまり興味がなく、自分が作ることになるとは考えもしませんでした。 でも、育児を経験したことで、その考えは180度変わりました。 生まれて数年しかたっていない我が子に、歯みがきやトイレ、あいさつといった生活習慣を教えるのに、「しつけ絵本」がどんなに役に立ったことか! 私のように「しつけ絵本」を必要としているお母さんたちが、きっとたくさんいると思い、「くうぴい」の絵本を作ることにしました。
―― ボードブックタイプで、おはなしもとても短いですよね。
今までの絵本と作り方に違いはありましたか? 「そらまめくん」シリーズや「くれよんのくろくん」シリーズは、自分の頭の中で、おはなしを組み立てていくので、ある意味、自由な発想がベースにあったと思います。 でも、「くうぴい」は「あいさつ」や「トイレトレーニング」など、テーマが先にあります。 そのテーマを、子どもに分かりやすく伝えるにはどうするか、主人公のくうぴいがどう行動したら、子どもたちは共感してくれるのか、いつも以上に考えながら、おはなしを作っていきました。
―― くうぴいというキャラクターも、子どもたちに人気がありますね。
そうですね。くまのキャラクターは、男の子でも女の子でも受け入れてくれる動物と言われています。 実際、くまのぬいぐるみ(テディベア)は、性別・年齢を超えて世界中の人たちに愛されています。 「くうぴい」は、太い輪郭で縁取られたキャラクターで、絵柄も単純に思えるかもしれません。 ですが、こぐまの毛皮のふわふわ感や、あたたかさを少しでも表したかったので、色が単調にならないよう、カラーインクを数回かさねて、色に深みを出すようにして描いています。
―― ありがとうございました。次回は、絵本作家20周年を迎えたなかやさんの、今の気持ちを伺いたいと思います。
●イベント情報
開館20周年・作家活動20周年記念特別展
「なかやみわ 絵本の世界展」 画業20周年の企画展として、人気絵本シリーズの原画100点以上、ラフ画などを展示公開。 ワークショップや講演会、サイン会なども開催予定です。 会場:一宮市三岸節子記念美術館 期間:2018年6月30日〜8月19日 URL:http://s-migishi.coms-migisi.com ●サイン会&講演会 日時:7月7日(土) サイン本:14時〜15時 講演会 :15時15分〜16時 ・ワークショップ「はじき絵をかこう!(仮)」 日時:8月8日(水) 14〜16時 ※詳細は決まり次第、美術館ホームページで お知らせします。
「MOE40th Anniversary
島田ゆか 酒井駒子 ヒグチユウコ ヨシタケシンスケ なかやみわ 5人展」 会場内で、なかやみわさんの原画が展示されます! 会場・会期: (東京)松屋銀座 2018年4月18日〜5月7日 URL: http://www.matsuya.com/m_ginza/ (宮崎)みやざきアートセンター 2018年夏頃 URL:http://miyazaki-ac.com/ (大阪)阪急うめだ本店 2018年冬頃 URL:https://www.hankyu-dept.co.jp/
【サイン会】
●トーハン「こどもの本ブックフェア」京都会場 日時:7月22日(日)13時〜15時 場所:京都市勧業館(みやこめっせ) 第2展示場 ●『やさいのがっこう とうもろこしちゃんのながいかみ』発売記念サイン会 会場:くまざわ書店調布店 東京都調布市布田4-4-22 トリエ京王調布A館4階 TEL:042-490-2052 日時:4月8日(日) 14時〜(30名) 15時〜(30名) ※参加の方には、1冊につき1つ特製マグネットをプレゼント。 ※サイン会の前に、絵本専門士によるおはなし会も開催。 ※期間内【2018年3月15日から2018年4月25日まで】にご回答いただいた絵本ナビメンバーの方全員に、 絵本ナビのショッピングでご利用いただける、絵本ナビポイント50ポイントをプレゼントいたします。 感想を送る>>
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