飢饉が続いた年、くずのは山のキツネが嫁入りすると豊作になるという言い伝えを聞いた兄弟が、キツネを探しにいきます。
この絵本は、私が子供の頃、配られた「こどものとも」の中の一冊でして、
結構お気に入りで、よく読んでいたことを覚えています。
今読んでいるものは、1998年に特製版として出版されたものです。
昔、この絵がとても好きだったのです。
でも、今見てみると、いったいどこが?というかんじなのです。
あまりかわいげがない、というか…
しかしながら、当時、くっきりした線、色のはっきりした絵が子供ながらに好きだったのです。
そして、なによりも、この絵本のストーリーが、本当によく現れている絵なのです。
「腹がへった」
「たくさん米がとれるように、といのりながら、土を掘り起こした」
「稲を植え、草取りをし、やがて稲は重い穂をつけた」
「台風がやってきて、人々は土嚢を積み、たんぼを守った」
心に、ひしひしと、伝わったのを覚えています。
豊作を祝い、人々が飲み食いしているシーンで食べているおむすびのまあ、なんとおいしそうなこと!
食べることが、すなわち生きること。豊かな今とは違い、昔の人は、食べることに懸命にならなければならなかったのだな、と思わずにはいられませんでした。
あ、すみません…この絵本は、表題にも現れているとおり、「きつね」がかかわってくる、幻想的なお話でもあるのですが、
あまりに「食」に対するアピールが強く印象に残っていて、感想も、そちらばかりになってしまいました。ごめんなさい。 (ルートビアさん 30代・ママ 男の子4歳)
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