きつねの窓」 SNOWDROPさんの声

きつねの窓 作:安房 直子
絵:織茂 恭子
出版社:ポプラ社
税込価格:\1,925
発行日:1977年
ISBN:9784591005545
評価スコア 4.47
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みんなの声 総数 14
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  •  回想の形で書かれたこの話。とてもドラマチックで、気がつけば話の中に入っています。私はこういうお話大好きです。これは一時の夢だったのでしょうか? それともで現実? そんなことも考えながら・・・

     山小屋に戻る途中、鉄砲を持ってぼんやり歩いていたら道に迷ってしまいます。この時から不思議な世界に入ります。
    見慣れた杉林なのに一面桔梗の野原、怖くなって引き返そうと思っても、足を踏み入れてしまいます。どんどんこの話に引き込まれます。

     仕留めようと追いかけた白い子狐を見失った時、そこは染め物屋、男の子の店員に出会います。さっきの子狐が化けたんだと思っても、だまされたふりをします。話のやりとりが続き、どんどん話に入って行きます。

     この男の子は自分の正体をばらしてしまっても、二人のやりとりは続きます。 その時この二人に、亡くした人への思慕という共通の感情があるのです。

     男の子は「ぼく」にも同じように指を染めてあげて、その指で作った窓は懐かしい人を写し、男の子はお礼に鉄砲を貰います。
    鉄砲を持った人間を一人でも減らしたかったのでしようか・・・それとも精一杯の抗議でしょうか・・・

     小屋に帰った「ぼく」は無意識に手を洗ってしまい、現実に戻されます。もう一回会いたくても、その染め物屋にはもちろん会えませんし、指で窓を作っても懐かしい人にも会えません。そしてもう鉄砲もないのです。この経験で指で窓を作るくせがついた「ぼく」は二度と鉄砲を持つことはないと思います。じーんとくるお話でした。

    投稿日:2013/04/29

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