小さな町で暮らすふねくんが、少年から友達への手紙を預かって旅に出ます。
目的地は大きな港町。
まだ行ったことのない遠い遠いところです。
気持ちのよい潮風に吹かれながら小さな町を旅立ったふねくん。
さて、ふねくんはお手紙を無事届けることができるでしょうか。
朝や昼で色を変えてゆく空や海の青が、とてもきれいな絵本です。
多くのページには空と海しか描かれていませんが、広がりと奥行きを感じさせられます。
旅の終着、港町のパノラマは見事!
開くごとに船たちが少しずつ進んでいるのも面白いです。
そしてにぎやかな大きな港町にたどり着き、それまでの旅の静けさにふと気づく。
そんな絵本です。
お話の中心はふねくんの港町までの冒険。
船旅らしく、ゆっくりゆっくりと進んでゆきます。
飛行機は空をひとっ飛び。
でもふねくんはかもめをともない、ゆっくりゆっくりと旅を進めます。
何かと「迅速である」ことが求められる息子のこれから。
(きっとわたしもそう急かしてしまう日がくるでしょう)
ですが、時には静かに周囲へ目や心を向けながら、ゆっくりと進むことの大切さも覚えていたいと思います。
さて、息子の一番のお気に入り。
これはやはり港町のパノラマ。
ページを開くごとに景色の中に船が増えてゆくのが、乗り物好きな息子には楽しいようです。
ふねくんを追い抜いていった大きな船が、すでに入港していることに気づいたときは、うれしそうに数ページを行ったり戻ったりしながら確認していました。
ほかには空一杯の虹が描かれたページ、星空を映す波間での一休みのページが息子のお気に入り。
見開きの絵が、絵としてもきれいだなあと思う一冊です。
このふねくん。
いしかわさんの「のりものいろいろかくれんぼ」にも出演(?)しています。
息子はこの二冊を並べて見比べるのも大好き。
実は飛行機くんとも共演しているのですが、それに気づくのはいつのことでしょう。楽しみです。