恐竜 骨ぬりえ
- 構成:
- 岡田 善敬
- 監修:
- 小林 快次
- 出版社:
- KADOKAWA
絵本紹介
2025.08.19
例年、恐竜の展覧会やショーが多く開催される夏休みですが、特に今年は各地で新しいイベントが目白押し!
7月にオープンした沖縄県のジャングリアは、ティラノサウルスに追われる体験アトラクションが話題です。大阪・関西万博の福井県パビリオンでは、恐竜の繁栄から絶滅、現代に至るまでを大迫力のVR映像で楽しめるそう。大人気映画「ジュラシック」シリーズの新作もこの夏公開。恐竜にあまり興味がなかった子どもたちも、太古への扉を開くきっかけになりそうですね。
今回は、恐竜入門としてもぴったりの絵本をご紹介します。
塗っていくのは骨格!「ダイナソー小林」こと小林快次先生監修の『恐竜 骨ぬりえ』は想像をふくらませながら恐竜への好奇心や学びを深めていくワークブックです。
憧れの恐竜島の旅へ! 乗り物は翼竜の飛行機、観光ツアーでは目の前に巨大な恐竜たちが現われ、迫力満点だけど危機一髪?!『恐竜サファリ』は映画のような没入感で楽しめる一冊。
フランス発ファーストブックにぴったりの絵本、ユーモアたっぷりのおはなし絵本など、遠い存在だった恐竜にグッと近づける絵本が顔を揃えました。いざ、奥深き恐竜ワールドへ!
みどころ
恐竜――
それは、おおきな体に夢つめこんだ、太古に生きるぼくらのロマン!
今はもう絶滅してしまった彼らですが、恐竜に関する常識は、あたかも彼らがまだ生きて進化を続けているかのように、日々変化しています。
最近でも、ティラノザウルスには羽毛が生えていたかもしれないとか、世界最小の恐竜の卵が日本で見つかったなど、つぎつぎと新しい研究結果が発表され、ぼくらを飽きさせることがありません。
そんな恐竜をテーマにした本作は、彼らの謎多き生態を解き明かす恐竜学者の研究を、追体験させてくれる一冊です。
「ぬり絵」と題された本作ですが、枠の中を色でつぶすというような、一般的なぬり絵とは少しちがっています。
ページに描かれているのは、「中に色を塗るための枠」ではなく、「恐竜の全身骨格」!
その骨格に色で肉付けをすることで、自分が想像する恐竜の姿を描こう、というのがこの絵本の遊び方です。
ページごと、そこに描かれた恐竜について、食べ物や生息場所、体の大きさといったデータが記されているので、骨の形がこうだと、体の輪郭はどんなだろう?
食べものによって、口の形はどうあるべきだろう? 歯の形は?
どんな天敵がいたんだろう? どうやって、敵とたたかっていたんだろう?
そんなふうにイマジネーションをはたらかせて、彼らの生きていたときの姿を推理し、描いていくことができます。
生態が似ていれば、姿も似ているのでは!?
今の時代に生息するいろいろな生き物たちの写真を集めた資料も付属しているので、生態の似ている動物を参考にすれば、よりリアリティのある恐竜を描けるはず!
ふしぎに思ったことはないでしょうか?
骨しか見つかっていないのに、そこからどうやって、恐竜たちの色や模様を知ることができたのか?
実は研究者もこの絵本を手にした我々のように、恐竜の姿を推理、想像しているのだそう。
今の時代を生きている動物たちをヒントにしながら、恐竜の生態をそれと照らし合わせて、どういう色やデザインであれば、説得力があるかを考える。
これぞ立派な恐竜学者!
より深く恐竜を知りたいという読者のために、登場する恐竜たちの全身骨格を実際に見られる博物館の情報も記載されています。
この一冊を元にして自分なりに学習を広げれば、自由研究の材料にも!
恐竜絵本としても、ぬり絵としても新鮮な、おすすめの一冊です。
この書籍を作った人
北海道大学総合博物館教授、同館副館長。アメリカのワイオミング大学地質地学物理学科卒。海外へ発掘調査に出ながら、恐竜の分類や生理・生態の研究を行う。ヤマトサウルス、カムイサウルスなどの名付け親であり、日本を代表する恐竜学者。著書に『ぼくは恐竜探検家!』(講談社)、『恐竜まみれ』(新潮社)など。図鑑監修も多数。
みどころ
頭の中は恐竜のことでいっぱい! 恐竜が大好きなはるとくんが向かっているのは、憧れの恐竜島。まちにまった旅行の日です。翼竜の飛行機・ケツァルコアトルス号に乗って出発です。
「首長竜だ!」
島に着いて最初に向かった『デボンかいひんこうえん』では、エラスモサウルス、アノマロカリス、サンヨウチュウ、ダンクルオステウス……海の中には様々な時代の生き物が泳いでいます。海の上のレストランでは、アンモナイトの刺身やゆでた海サソリなど、めずらしい食べ物がいっぱい。
午後にはいよいよ恐竜島の観光ツアーへ。アンキロサウルスバスに乗って出発すると、目の前には、地響きを立てて歩く巨大なフタロンコサウルスにオンコプリスティスを丸のみにするスピノサウルスなど、迫力満点。そして、一頭のティラノサウルスがバスに近づいてきて、獲物をねらうようにこちらの様子をうかがっていたかと思うと……。
絵本、イラスト、3DCGなどの分野で活躍されているいとうみちろうさんが描く恐竜サファリは、まるで本当に恐竜島にやってきたかのような臨場感。恐竜の住む自然が再現され、その中で生き生きと動き回る大きな恐竜たちのすぐ横で食事をし、小さな恐竜たちとはふれあいを楽しむことができる。移動する乗り物も恐竜、ホテルからは島を一望できる。ワクワクとスリルに満ちた、まさに恐竜好きの子どもたちにとって夢のようなテーマパーク! この感覚を絵本で味わえるなんて、嬉しいの一言ですよね。さて、明日はどんな恐竜に会えるのかな……。
この書籍を作った人
1982年生まれ、東京都在住。主な作品に『恐竜バス』『昆虫電車』( 以上、永岡書店)、『地球のあゆみえほん 46億年のれきし』(PHP研究所)などがある。絵本、イラスト、3DCGなどの分野で活動中。専門学校講師。
この書籍を作った人
僕にとって、絵本をつくるということは「あ!いいな」の気分が形にできるかどうかということです。だから、きょうも「いい気分」を探しています。1955年東京生まれ。セツ・モードセミナー研究科卒。グラフィック・デザイナー、イラストレーター。初の絵本作品は『おとうさんびっくり』(絵本館)。他に月刊漫画「ガロ」に描いた漫画を絵本化した『さがしものはネコ』(架空社)、主婦の友あかちゃんえほんシリーズ『みつけたよ!』『まあだだよ!』(主婦の友社)、『ばけれんぼ』(PHP研究所)、『まよなかのほいくえん』(いとうみく/文 WEB出版)、妖怪絵本シリーズ『妖怪横丁』『妖怪遊園地』『妖怪温泉』『妖怪食堂』(絵本館)など。
この書籍を作った人
1959年生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、米国イェール大学理学部修士課程修了、英国ブリストル大学理学部Ph.D. 課程修了。博士(理学)。国立科学博物館・標本資料センター・コレクションディレクター、分子生物多様性研究資料センター・センター長、副館長・研究調整役。群馬県立自然史博物館・特別館長を兼務。恐竜など中生代の化石から読み解く爬虫類、鳥類の進化を主な研究テーマとしている。著書に『日本恐竜探検隊』(岩波書店、共著)、『深読み! 絵本『せいめいのれきし』』(岩波書店)、『恐竜学』(学研プラス)、『恐竜の魅せ方 展示の舞台裏を知ればもっと楽しい』(CCCメディアハウス)ほか、図鑑の監修、「恐竜博」など展覧会、博物館の展示監修も多数。
みどころ
今夜イビキさんが泊まるのは、ナカヨシ・ホテル。ここがちょっと変わったホテルであることを、イビキさんはまだ知りません。
早く眠りたいイビキさん。フロントのベルボーイは1階の104号室に案内しました。さっそく寝る準備をして毛布に潜り込んだイビキさんでしたが、枕に頭を乗せようとすると、「チューチュー」という音が聞こえてきます。
びっくりしたイビキさんは、慌ててフロントに電話をします。「わたしのまくらにねてるやつがいるんだよ」と訴えますが、ベルボーイは、慌てることなく「はい、ネズミさまじゃないでしょうか」と返事。どうやらこのホテルは、どの部屋にもすでに先客がいるようなのです。
代わりに案内された2階の部屋にもブタが、自分で選んだ5階の部屋にもクモがいます。自分だけでゆっくり寝られる部屋を探し、どんどんとフロアを上がっていくイビキさん。タイトルの通りだとすると、13階にいるのは……?!
予想を裏切るどんでん返しが楽しいおはなし。ナンセンスな展開に、子どもも大人もワクワクするでしょう。『としょかんライオン』『ウエズレーの国』など人気絵本のイラストを描く、ケビン・ホークスのユーモラスなイラストも必見。ページをめくるたびに、なんだか眠くなってくる、かも。ウイットに富んだおしゃれで楽しい作品です。
この書籍を作った人
メイン州在住のイラストレーター。自作の絵本のほか、ミシェル・ヌードセン作『としょかんライオン』(岩崎書店)、キャスリン・ラスキー作『大森林の少年』、ポール・フライシュマン作『ウエズレーの国』(ともにあすなろ書房)など、数多くの絵本の絵を描く。
この書籍を作った人
福島県に生まれる。早稲田大学卒業。翻訳家、エッセイスト。絵本の翻訳に『プレストとゼストリンボランドをいく』(岩波書店)、『ベンソン先生にあたしはきっと★はもらえない』『おっこちてきた』(光村教育図書)など多数。
文/竹原雅子 編集/木村春子