ぬけちゃった ぬけちゃった
作: スティーブ・アントニー 訳: せなあいこ  出版社: 評論社 評論社の特集ページがあります!
「スマホが手放せない」時代の子ども(と大人)へ……。 外の世界には、新しい冒険が待っている!

連載

『ぐりとぐら』の作者が贈る、ママたちへのメッセージ  『ママ、もっと自信をもって』出版記念連載

日経BP

2016/12/01

【連載】第5回 紀伊國屋書店 玉川高島屋店 跡邊千香子さん

【連載】第5回 紀伊國屋書店 玉川高島屋店 跡邊千香子さん

今回お話を伺うのは、紀伊國屋書店 玉川高島屋店で児童書売り場を担当する跡邊千香子さんです。長年、児童書担当として活躍するプロの書店員の立場から、『ママ、もっと自信をもって』の魅力を教えていただきました。
●乾いた地面に水がしみ込むように、すーっと頭に、体に入ってきました。
―― 『ママ、もっと自信をもって』というタイトルを見たとき、どのように感じましたか?
『ぐりとぐら』や、たくさんの絵本でよく見たことのあるイラストが、まず目にとびこんできました。よくよく見ると、そのまさに『ぐりとぐら』などの作者である中川李枝子さんのお名前が!! そして、このタイトル……。
いったい、どんな本なのかな!? と興味津々に本を手に取りました。
――やはり、中川李枝子さんの自伝的エッセイということで、注目されたのですね。
もちろんそうです。だって、中川李枝子さんといえば、『ぐりとぐら』や『いやいやえん』(ともに福音館書店)など、多くの子どもが必ず通るたくさんの絵本の作者です。
その中川さんが、ママに向けて何を語るのだろうと、ママではない私でも気になりました。ママではなくても、中川さんが言うことを一緒に聞いてみたいと思いました。
表紙のやさしい雰囲気にも、とても心惹かれました。
―― 読み終わったときの感想をお聞かせください。
すぐに、胸の奥がじんわりと温かくなって、体の力が抜けてとても自由になり、このままどこへでも飛んで行けそう!! なんて気持ちになりました。
中川さんが、ご自身の生い立ちや、これまで子供に関わるお仕事をされてきたことを通して、子育てに悩んでいるママたちに向けて書いていることだけれど、それだけではないいろんなことがたくさん詰まっていると思います。
―― いろいろなこととは……?
全編に、中川さんの「大丈夫よ!!」というやさしい励ましのメッセージがちりばめられていて、子育ての悩みはもちろん、子育てではない悩みでも、「そうだよ!! きっと大丈夫。何とかやれる!」そう思えるようにしてくれました。そして、それは根拠のないことではなく、たくさんの子どもたちを見て、たくさんの子どもたちに向けて本を書き続けてきた中川さんの体験からの言葉だから、乾いた地面に水がしみ込むように、すーっと頭に、体に入ってきました。悩んでいるときに読んだら、感じるところの多い本ですが、そうじゃなくても、楽しい気持ちになれる、いろんな人に読んでほしい本です!
―― 跡邊さんの特に好きなエピソードを教えてください。
好きなエピソードはたくさんあって、どれか一番を選ぶというのはとても難しいです。
……うーん、あえてひとつ挙げるとすれば、子どもはみんな「お母さんが大好き」というところです。
保育園で、子どもと仲良くなるために、その子がいちばん好きな人、お母さんを中川さんも好きになるということ。すごいです!!  でも、これは本当のことなんだと素直に思えました。
――跡邊さんも、お母さん大好きなお子さんでしたか?
そうですね。自分の小さな頃をふり返っても、「こんなお母さんだから」とか「こんないいところがあるから」とかではなく、理屈抜きに母親が大好きだったんだなあと思い出されます。いやいや、もちろん今でも大好きですけれど(笑)。
そういうことではなく、本能的にとでもいうのでしょうか、きっと、母親自身が思うよりも、子どもってお母さんが好きなのですね。なんだか、嬉しくなりますね!
―― 第一章では、中川さんの幼少期のエピソードが語られていますが、ご自身と中川さんの似ているところがありましたら、教えてください。
中川さんとの共通点、なんて言うとちょっとおこがましいかもしれませんが、私の両親も中川さんのご両親と同じく読書家だというところでしょうか。私の場合、特に父がすごかったんです。どのくらいすごかったかと言うと、私が物心つく頃には、父に「とにかく本を読め!」と言われ、一時期は読書がイヤになるくらい、読め読めうるさく言われてました。父自身の幼い頃、ろくに本が読めなかったので、本に対する渇望が一通りではなかったからだと思います。
最終的には、私もまた本好きに戻れましたが(笑)、「本を買うためならお金は出すけど、それ以外はダメ」というくらいの勢いで、愛読家。 普通の会社に勤めるサラリーマンだったのですが、なじみの本屋さんに、毎日のように会社まで本を届けてもらっていたくらいでした。
――本当に本好きなお父さんだったのですね。お母さんはどんな方でしたか?
母は、典型的な文学少女が大人になっちゃったみたいな人です。なので、私が本ばかり読んでいても怒られるということはなかったですね。中高生の頃は、年ごろなのでマンガばっかり読んでいた時期もありましたが、マンガからも、たくさんのことを学んだと思っています。
●子どもの頃に友だちになっていたら、一緒に「ごっこ遊び」をしていたかもしれません。
―― ご自身が子どものころ、中川さんと出会っていたら、友だちになっていたと思いますか?
中川さんのような子がいたら、すぐには仲良くならなかったかもしれません。きっと、小さい頃から、自分をしっかり持っていて、周りに合わせて、女子っぽく固まって遊ぶことはしそうもないですものね(笑)。でも、いつの間にか、本の話を通じて少しずつして仲良くなれるかもしれないなと思いました。
―― 一緒に、どんなことをして遊びたいですか?
何をして遊ぼうかな、私は「ごっこ遊び」が大好きだったので、「学校ごっこ」とかかな?(笑) 中川さんならではの、自由な発想の先生に教わるなんて遊びをしたら、楽しいんじゃないかしら。あとは、中川さんの演出で「お芝居ごっこ」とか。突飛で楽しいお芝居ができそうじゃないですか?
―― 書店員として、日々お客様に対応されている中で、特に人気の絵本はどれですか?
中川さんといえばやっぱり『ぐりとぐら』ですよね。お客様にも、もちろん大人気ですし、私自身も「ぐりとぐら」シリーズが大好きです。
特に一番好きな作品は『ぐりとぐらのおきゃくさま』。あしあとをつけていくところは、何度読んでもドキドキします。
あえて、ほかの作品をオススメするなら『こぶたほいくえん』です。やんちゃなこぶたのきょうだいが、保育園に入って、保育園が大好きになるおはなしです。お友達がたくさんいて、楽しい保育園の一日が描かれています。
―― 跡邊さんが好きな作品はどれですか?
一番思い入れがあるのは、『そらいろのたね』(福音館書店)です。種から生えてくるのがお家というのも楽しいし、いろんな動物が集まってきて、お家が大きくなっていって……。動物たちが楽しそうに、それぞれの部屋を居心地良くしている様子もいいですよね。私は小さな頃、自分だけの部屋がなかったので、あこがれもありました。
ラストは、なんにもなくなってしまって、まるで昔話の『みるなのくら』の最後のようで、不思議な感覚ですが、哀しいとはなぜか思いませんでした。さわやかというのか、すがすがしいような気持になります。
―― 身の回りのママに、中川さんの子育てメソッドを伝えるとしたら、特にどの回答を紹介したいですか?
子育てに対して「教科書通りにいかない……」「マニュアルがない……」と悩むママたちへのアドバイスで、「古今東西の名作といわれる児童文学を読むのもおすすめ」というところです。
たしかに、児童文学にはいろんな問題児がたくさん登場します。そしてその子どもたちを見守る大人たちがちゃんといる。そんな素敵な大人、母親を見つけられたら、いろんな不安はきっとなくなりますよね。なかなか、理想通りにはいかないかもしれませんが、目標があれば、自分がその時々にどうしたらいいか、分かってくるのではと思います。 私も、書店でですが子どもとふれあうことがあるので、そんな素敵な大人に、女性になれたらいいなと思います。 素敵なお母さんや女性に、時代なんて関係ないです!!
―― 『ママ、もっと自信をもって』にPOP風にオススメを書くとしたら、どんなキャッチコピーをつけますか?
・「もっと子育てを楽しんで!」だって、みんなお母さんが大好きだから!!
・何度も読みたくなる! 中川さんからのメッセージ。
・お母さん! がんばらなくても、大丈夫〜!!
ひとつには絞れなくて、いくつか考えちゃいました(笑)。
―― ありがとうございました。
●紀伊國屋書店 玉川高島屋店
今回お話を伺った、跡邊さんが勤める紀伊國屋書店 玉川高島屋店は、穏やかな多摩川の流れと、豊かな緑に囲まれた二子玉川駅直結の「玉川島屋ショッピング・センター」南館五階にあります。 子ども連れ、家族連れをターゲットとした、児童書や知育玩具の品ぞろえが豊富で、子どもの「心」「感性」「知性」を刺激する商品を多く取り揃えています。


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