覚えてはいないけれど、いつかの過去に、ぼくらは生まれた。
うきうき、ワクワクするような日もあれば、なんだか浮かない日もあって――
そうして愛を受け、おおきく育ったぼくらはやがて、受け取ったものをつぎの命へ。
ファーストブックにもぴったりの赤ちゃんも夢中になれる作品から、はたまた大人もびっくりのゾゾッと怖〜い絵本まで——
強烈な個性をはなつ作風を、様々なジャンルで惜しみなく発揮する大人気絵本ユニット、tupera tuperaの新作です!
カラフルで、コントラストもはっきりしたイラスト。
使われている言葉もシンプルで、歌うようにリズミカル。
そう、一見しては赤ちゃん向けの絵本です。
ところがそのテーマは——ひかりかがやく人生賛歌!?
タイトルの「にちにちらんらん」は造語で、「光り輝く(らんらん)日々(にちにち)」という意味だそう。
さんさんと照る太陽のおだやかな笑顔が表紙の本作は、ページの中央には穴が空いていて、ページをめくっても、その表情だけが変わらずすべての場面でほほえんでいます。
描かれるのは、ひとりの赤ちゃんが生まれ、あらたな出会いをかさねながら自らの人生を生きる姿。
「おいでおいで よちよち」
「もやもや ざわざわ」
「わくわく どこへどこへ」
そんな、語りかけているとも、オノマトペともつかない言葉たちだけが、赤ちゃんの成長に添えられています。
0歳、1歳のお子さんでもたのしんで読むことのできる作品ですが、読み聞かせをしていたら、お母さんお父さんのほうがじんわり泣いてしまいそう……
最後のページを目にして、『にちにちらんらん』というタイトルの本当の意味を知ったとき、思いもよらない感動に胸を打たれるはず。
あらたに家族の増えた家庭におすすめしたい、いとおしい作品です。
(堀井拓馬 小説家)
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