冬の日の夕方、子犬のころわんがおうちの前にいると、空から白いものがふわり、ふわり……。
「ひゃあ、つめたい。おはなにとまっても、すぐきえちゃうよ。おかあさん、これなあに?」
ころわんに、おかあさんは答えます。
「これは、ゆ、き。はつゆきよ」
その夜は、静かに雪がふりつづき……。
朝になってころわんはびっくりします。
「わん、わん、わん。しろい、しろい、まっしろい! おかあさん、これ、ぜーんぶゆきなのね!」
どこまで白いのか、雪の中を見に出かけたころわんは……?
人気の「ころわん」シリーズ、最後の絵本。
間所ひさこさんの文、黒井健さんの絵によって1985年『ゆきのひのころわん』から34年。
単行本化前の、月刊絵本でのシリーズ誕生から数えると36年にわたり愛されてきました。
間所ひさこさんが2019年にお亡くなりになり、27冊目の本書が最後の絵本となりました。
初めて見る雪におどろいて、はしゃぐころわん。
雪をいっぱい顔やからだにくっつけて、とことこ、さくさく、と白い雪の中を歩いていくころわん。
寒いのも忘れて元気に遊びまわるころわんと、友だちのちょろわん。
ずっと変わらないころわんたちに、幼い子の姿が重なります。
黒井健さんの繊細な筆で、日本の美しい四季が表現されてきたころわんシリーズ。
かわいい子犬のころわんと一緒に、もう一度、季節を味わいたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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