おとぎ話とさがし絵。よく慣れ親しんできた2つのものが1つに合体して、ワクワクする絵本になりました!
見開きで描かれる物語の世界は、おはなしを知っている子なら「あのシーンだ!」とすぐにわかるでしょうし、知らない場合は、次のページの物語を読めばOK! 絵さがしだけでも楽しめますが、物語を知っておくと「この鬼はあのシーンのことかな?」とおはなしとリンクさせて楽しむことができます。
掲載されているおとぎ話は「ジャックと豆の木」、「シンデレラ」、「うらしまたろう」、「ヘンゼルとグレーテル」、「ラプンツェル」、「いばらひめ」、「ももたろう」の全7話です。建築家の視点と精緻なタッチ。断面図のように描かれたシーンはどれも印象的なものばかりなのですが、個人的には桃太郎が攻め入ってきたことにまだ気がづいていない鬼の大将の豪快な笑い顔が忘れられません。
私が子どもの頃にはあまり知られていなかったラプンツェルも、今や人気の物語。当然息子も全部知っているかと思いきや、「ヘンゼルとグレーテルって何?いばらひめって何?」とのこと。確かに、読み聞かせた覚えがないかも……。自分の趣味に偏ったものばかり読ませていたことを反省し、どちらもおもしろいから読んでみてとオススメしてみることに。すると「ヘンゼルとグレーテル」ではお菓子の家に夢中になり、「いばらひめ」では見開きいっぱいに描かれた眠る人たちに驚いていました。長い間読まれ続けているおとぎ話には、いつの時代の子どもたちをも惹きつける魅力があるんだなあと改めてしみじみ思いました。
細部まで描かれているので、「さがしてみよう」に書かれていないものまで探したくなります。子どもとお題を出し合って探してみるなど、色々な楽しみ方をぜひ見つけてみてくださいね。
(近野明日花 絵本ナビライター)
続きを読む