「つかれたなあ。ホテルで ゆっくり やすみたいな」
旅に出たとらねこのトント。歩いているうちに、すっかり日が暮れてきました。すると森の奥にりっぱなホテル。看板には「グッスリホテル」とあります。なんでも「すばらしいねむりをお約束」してくれるというのです。中に入ると、キツネの支配人が出てきて言います。
「すばらしい ねむりの ためには、したくが かんじん。
わたしくしどもが その おてつだいを いたします。」
すぐにベッドに入りたいと思っていたトントですが、案内されるのは「おふろの間」、「パジャマの間」、「はみがきの間」、なかなかお部屋にたどりつきません。トントがヘトヘトになってきたころ……。
作・絵を手がけられているのは、アニメーターや児童書の挿画家としても活躍されている絵本作家あさくらまやさん。大人になった今だって、私たちが日常で行っている「寝る前の支度をするかしないかの葛藤」(笑)を、見事にユーモラスで愛らしい絵本として完成させてくれました。子どもたちも毎日「はみがきしたの?」「トイレに行きなさい」なんて言われたら、うんざりしちゃうよね。
けれどここは特別なホテル。ぞうさんのシャワーに、ぴったり仕立てたくもの糸パジャマ、はみがきはハミガキドリにおまかせです。おまけにトイレときたら……!? どれも「普通のしたく」ではありません。見ているだけでドキドキ、ワクワク、笑っちゃいます。トントの表情の変化にも共感しかありませんよね。
これはキツネに化かされたのか、本当にりっぱなホテルだったのか。ひとつわかっているのは、「ぐっすり眠れた」ということ! どんな年齢の子にも役に立つ、ゆかいなおやすみ絵本。くりかえし読みながら、ページのすみずみまで楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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寝る前のはみがきやトイレに
うんざりしている子どもたちのためのユーモア絵本
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ある日とらねこのトントが、旅先で「グッスリホテル」に泊まりました。誰でもぐっすり眠れるというこのホテル、じつは寝る前にしないといけないことがたくさんあるのです。トントはおふろの間やパジャマの間などに次々と案内され、なかなか部屋にたどり着きません。もう〜、早くベッドに入ってぐっすり眠りたいよう!
アニメーターや児童書の挿画家としても活躍する、あさくらまやさんの絵本です。寝る前にしなくてはいけないこと(トイレとか歯磨きとか)が面倒でやだ〜思う気持ちが、ユーモラスに描かれています。毎晩親に「トイレにいっときなさい」「歯磨きしたの?」と言われてうんざりしている子どもたちなら、きっと共感できると思います。あさくらさんご自身も「寝るための支度」の日頃の葛藤を思い、この作品を思いついたそう。「お風呂に入らなくて後悔することはあっても、入って後悔することはないのにね……(笑)」
*** 『グッスリホテルへようこそ』の見どころ ***
■せっかくホテルに着いたのに、寝る前にお風呂に入れとか、パジャマを着なさいとか、いろいろ注文が多くて、トントがだんだんヘトヘトになっていく様子がおもしろいです。
■グッスリホテルには「おふろの間」「パジャマの間」のほか、どんな部屋が待ち受けているでしょう? トントは部屋にたどり着けるのでしょうか。きつねの支配人が案内するホテルならではの、最後のどんでん返しもお楽しみに!
■「おふろの間」では「ぞうのシャワータイム」があったり、「パジャマの間」では「くもの仕立て屋さん」がパジャマを作ってくれたりと、動物の世界ならではの描写がユニーク。ホテルの内装にもいろいろヒントが描かれているので、お見逃しなく。
*** 対象年齢 ***
読んであげるなら 3歳から
自分で読むなら 小学低学年から
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