
「こんやは、雪になりそう」
ユキは、くり駒のつやつやしたたてがみに、顔をうずめた。 くり駒は、たてがみをひるがえし、早池峰山をめがけて、かけのぼりはじめた。 もうすぐ、北の国に冬がやってくる。
岩手県遠野にのこる、日本でも長い歴史をもつ「養蚕」のはじまりを伝える不思議なおはなし。

絵の美しさに引き込まれてしまいました。
心憎いまでに繊細で情緒的で官能的な、切り絵舞台です。
「おしらさま」は、遠野物語でもとても神秘的なお話です。
馬に恋する娘という禁忌の物語でありながら、蚕となって家を護る神として話を展開します。
解説で、東日本大震災の津波被害に結びつけた、作者のひだかのり子さんは、東北地方の家の守護神とおしらさまをリンクさせたのでしょう。
タブーを犯したために命を失った飼馬と娘ではあるけれど、二人の暮らした家でうけた親の恩を、憎しみよりも強く感じていたということでしょうか。
人の情にも踏み込んだ切り絵に、ただ切なさと愛おしさに包まれた絵本です。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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