「ざあ ざあ ざあ」
突然の雨に、女の子はあまやどり。傘をもっていないのです。早くおうちに帰りたいけれど、やっぱり傘がないとぬれちゃうね。するとその時、
「そこの おんなのこ。
あめだから はやく おうちに かえりなさい」
声をかけてきたのはクモさんです。クモさんは使い終わったクモの巣をくれました。けれど、全然役に立ちません。さらに困っている女の子を見て、犬やゆうれい、ゆうくんのパパが「いいものあげようか」と声をかけてくれます。もらったものは……?
どこか懐かしさを感じる背景を舞台に、傘を持たずに帰り道を急ぐ女の子の様子を描いたこの絵本。誰でも経験のあるだろうこの「困った時間」の中で、ちょっぴり不思議な出来事が次々と起こります。雨に濡れないように登場するのは「クモの巣」「かたっぽのくつ」「すぐに消えてしまう傘」など、奇想天外な道具ばかり。困った状況はちっとも変りません。でも、みんなの親切と、それを喜ぶ女の子の愛らしいやり取りや、大らかでポジティブな雰囲気がなんとも魅力的。
作者はこの作品が絵本デビュー作となる大石さちよさん。あまやどりをしている小さな出来事の積み重ねが、最後のあたたかで幸せな場面へとつながっていきます。まあ……傘がなくたって、なんとかなるもんだよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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