ジェニー・スーは左目が斜視の女の子。
ともだちにからかわれたり、先生に窓の方ばかり見ないでと注意されたりするけど、自分の目が気に入っていました。
だって、わたしの目は「たびする目」。右目は案内役(数字や地図をよむ)、左目は芸術家(いろをみたりぼうけんに出かける)。右目と左目はすばらしいチーム。
でもある日眼科に連れていかれ、デイブ先生に右目をふさがれてしまいます。
左目だけでは、世界がぼやけて、とってもたよりなくて・・・なにもかもがめちゃくちゃ。
その夜、泣きながらねむって夢を見て・・・・(この夜の絵が美しいのです)
あくる朝ママに、つらい、もう学校にいきたくないって言いました。
ママはこう言いました。
「そうねえ。ジェニー・スー、こんなときこそ くふうよ、くふう!」
ママと「おしゃれアイパッチ」を作ってみたら学校のともだちにも大人気!
毎日、毎日、そんなふうに過ごしているうちに、だんだんまわりがはっきり見えるようになってきました。
しばらくしてデイブ先生のところへいったとき、先生はチョウチョのアイパッチをはずして、両目で先生のゆびを見るようにいいました。
そしたら・・・両目で先生のゆびの動きをおいかけられた!
たびする目(斜視)だったために、なまけていた目(弱視)がやる気をだして、左目が前よりつよくなったんだって。
「たびする目だって、ずっとやる気はあったんだけどな」ってジェニー・スーは心のなかでつぶやくけど、とにかく片目生活はおしまい。両目で気をつけて生活すればだいじょうぶってことになった。
大きくてぶあついめがねはかけなくちゃいけないけど、ママとわたしは、もちろん学校のみんながうらやましがるようなおしゃれなめがねを作ったよ。
最後に記された、手書きの文。
「わたしのたびする目は、いまでもときどき、かってにたびをする。でもそんなのあたりまえ。
じぶんだけのみかたで、せかいをみる。それがげいじゅつかなんだから!」
ジェニー・スー、あなたってかっこいいよ!と声をかけたくなります。
人とちがう何かをもっている子どもたちに、勇気を与えてくれる一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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