林明子さんの絵が好きなので購入しました。
初めて読み聞かせる時は、どこか違和感を覚えてしまいました。
私としては主人公の男の子を5,6歳位の子だと思っていましたが、
花や蝶や野に咲くイチゴに対して「こわいものかな?」と問いかける様子は、まるで乳幼児のようです。
このお話のグリム童話的なナンセンスさに、
対象をありのままに描く、真面目な林さんの絵柄が多少上滑りしてしまっている印象を持ちました。
とは言え、私も娘もこの本はとてもお気に入りです。
たった一人で田舎道を歩む男の子の素朴さは、やはり林さんならではの雰囲気が出ていますし、
家屋や石畳のたたずまいだとか、犬小屋や蜂箱の模様など細かな描写は素晴らしいです。
娘は、大人があれこれ頭で考えてしまう前に、ただ純粋に物語を楽しんでおり、
男の子と手をつないで一緒に歩いているつもりになりきって、
最後はおばあちゃんの作ったおいしいチョコケーキまでちゃっかりご相伴してしまいます。
男の子の「こわいものかな?」にはお姉さんきどりで「コワナイヨ!」と返し、
イチゴを見つけるシーンでは自分も一つつまんで「オイシイネ!」とにっこり笑い、
蜂から逃げるところでは一緒になって「ウワー!」と逃げまどい……
すっかり物語に入り込んで小旅行をしている姿は、なんだかうらやましいくらい楽しそうです。
絵が大きく言葉も平易で、小さい子供に向いていると思います。
とっても良い本でした。