どのページを見ても、描かれた子どもの顔が私を直視しています。
心の奥まで見透かされたような気になりました。
問いかけてきたり、語りかけてきたりしてきます。
いわさきちひろさんの様々な作品を集めて、谷川俊太郎さんが言葉を添えた作品です。
幸せそうな顔もありますが、どこか心に穴の空いたような顔もあります。
「戦火のなかの子どもたち」から選ばれた顔を見たときにはたじろぎました。
そして谷川さんの最後の言葉に締めつけられました。
この絵本の子どもたちには名前がないのです。
自分を語るよりどころがないのです。
「なまえをつけて」というタイトルの壮絶さを感じました。
名前で呼んでくれたら、この子たちは絵本から飛び出して胸元に飛び込んでくるというのです。
日ごろ知らない子からこのように見つめられたら、私は目をそらしてしまうでしょう。
子どもの澄んだ瞳は、時には鋭い刃です。
絵本だから目をそらせません。
この子たちは、いつもそこにいるのですから。