「学童疎開」を知るための貴重な絵本です。
家族から離れ、戦時中の子どもたちは、教師とともに集団生活をすることになりました。
この絵本では、大阪から島根県に学童疎開した奥田継夫さんの戦争体験が描かれています。
戦時中の子どもたちの姿が、健気であり、痛々しくもあり、等身大で描かれていて、胸を打ちます。
集団疎開とはこんな生活だったんですね。
父親が戦地で亡くなり、家族は3月13日の大空襲で亡くなりました。
集団生活の中での様々な出来事、家族への哀愁、戦争が終わったとき、帰るところもなくなっていたという喪失感に圧倒されました。
子どもたちにも、親にも重いテーマですが、淡々と描かれています。
タイトルの『お母ちゃんお母ちゃーんむかえにきて』とともに、モノトーンの絵がこの絵本をとても意味深いものにしていると思いました。
子どもたちに伝えたい絵本ですが、少し努力がいるかもしれません。