瀬戸内寂聴さんが描かれた、慈愛に満ちたお話です。
夫に死なれ、子どもたちにも先立たれた女性が悲しみを乗りこえるお話です。
おばあさんになってしまっていた女性は、自分のあるがままを受容していくのです。
そこから、人のために出来ることを探し出していきます。
おばあさんのしたことは、自分の家を馬商人の宿に提供することでした。
宿代を取るのではありませんから、無償の施しでした。
そこで、馬たちの中から産み落とされた小馬をもらい受けることになるのです。
小馬の名前はリタでした。
リタを利他と読み取ると、このお話は輝かしいものになります。
小馬のリタは、成長しておばあさんに信じられないほどの幸福をもたらすのですから。
考えると、このお話は利他に満ち溢れています。
読んだ人に「利他の徳」を差し伸べているように思えました。