とても崇高なお話です。
でも、角野栄子さんのやさしさに満ちたアレンジ、思いやりのあるロバート・イングペンの絵が、この童話のもつ残酷さをオブラートに包んでしまったように感じました。
間違ってアヒルの卵に混じってしまった白鳥の子は、悲しいくらいに惨めな姿で生まれ、いじめ差別の中を生きていく物語です。
でも、イングペンの絵は、最初からこの子を白鳥として登場させました。
アヒルとの異質感はあるものの、醜くはありません。
角野さんのお話も淡々と進むので、どれだけ「みにくいあひるの子」が大変な思いをしたのかよりも、成長過程を追っているように思いました。
児童書としての配慮だとしたら、ちょっと寂しい気がしました。
とはいえ、とても良いお話であることに間違いありません。
子どもを安心感の中で考えさせることも、重要だと考え直しました。