心のバリアフリーへの第一歩に・・・
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投稿日:2003/07/01 |
この本は、「止揚学園」という重度の心身障害児の施設で暮らす園児たちと、園長 福井達雨先生の長男 義人くんの心暖まるおはなしです。
時は1970年代。重度の知恵遅れの子ども達とともに、施設の中で育った義人くんは、幼児期、小学校低学年期は町の子ども達が一緒に遊んでくれず、疎外と差別の中で生きてきた子どもでした。小学三年生の頃の義人くんの日記と、精神年齢推定六ヶ月くらいの園児の絵とを組み合わせて作られたのがこの絵本です。(あとがきより)
今から遡ること30年。その時代、障害者への偏見、差別は想像以上で、バリアフリーという言葉すらない時代、一人の少年の「心のバリアフリー」をどのくらいの人が理解できたのだろうか・・・ そんなことを思いながら読んでいると、涙が止まりませんでした。 実は、この本との出会いは、次男が養護学校との交流を始める前に、担任の先生に 「こわいことなんか あらへん」(同シリーズ) を読んでもらったのがきっかけでした。障害者との関わりを経験したことのない次男には、同年代の子どもの心をこめた熱い思いと、(重度の知的障害を持った)子どもの描いたインパクトの強い絵が、強烈に心に残る一冊となったようです。
このシリーズを是非、お子さんと一緒に読んでみてください。 そして 「心のバリアフリー」の第一歩を踏み出して下さい。
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これでいいのかなぁ・・・?
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投稿日:2003/06/29 |
乙武洋匡さんの翻訳だから・・? みんなと違う形で生まれてきたことが = 障害を持った子になるのでしょうか。
かっくんはみんなと同じになりたくて一生懸命、体のカドをなくそうとします。 これって、周りと違うとつい焦ってしまう・・・ 強い個性を持つ素晴らしい人を 「普通じゃない」とか 「変わった人」と言ってしまう、まさしく、私たち大人の偏見が生んだ姿なのではないか、と思います。
「形は違っていても、かっくんにはこんなにすごい特殊な能力があったんだよ。」 というストーリー展開。 みんなを助けた日から、みんなのかっくんを見る目がかわったとされるお話のエンディングにも素直に感動できませんでした。
しかし、子ども達には、ストレートに何かを感じ取る一冊となったようです。
福祉先進国と呼ばれる国々に学び、やっと障害を持つ人々をはじめとする福祉への関心が高まってきた今、幼少期から絵本に学び、そして、最後にはこの本を見て、かっくんの個性をすんなりと受け入れられるような時代がくることを願います。
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わかるような気もするけれど・・・。
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投稿日:2003/06/25 |
たしかに ぼくは ここにいるんだけど
そのぼくは ぼくじゃないみたいなんだ
ある日、ふとそう思い始めると自分の周りの物全てが違って見える。 好みも遊びも、そして今までの自分自身の存在までも・・・。 大人の階段を上り始めた一人の少年の心の成長をリアルに映し出した一冊です。 「もう 子どもじゃないんだ!」 という少年の心の叫びが静かに響いてきました。 子どもの頃(実はついさっきまでの自分)の がらくた(思い出の品々)を箱にしまい込んで、今までの自分を「いなくなった」とするこのストーリー展開には、「それは 寂しすぎるよ」と言いたくなるような、なんとも切ない思いでしたが・・・。 同著者の 「おとなになる日」とあわせて読んでみてください。 思春期を迎える頃の子どもには、共感できるのかも・・。
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今度は、現代版 「シンデレラ」!
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投稿日:2003/06/24 |
名作、三びきのこぶたの逆バージョン(?)「三びきのかわいいおおかみ」を見て以来、このての本に、ついつい目がいってしまいます。(図書館でまた見つけてしまいました!) この本の元本はもちろん 「シンデレラ」 です。舞台をニューヨークに移し、現代風にアレンジしてあります。 か弱いシンデレラと王子さまが・・ ここでは、自己主張もできる活発な女の子 エリーと、学校でNo.1の人気バスケット選手 プリンスとなりお話は進みます。ドレスがミニスカートに、ハイヒールはスニーカーに、馬車は・・・? 今時の子ども達にはどこか共感できるところがありそうです。 絵も現代的で、所々にいたずら描きのような楽しいイラストやつぶやきも書き加えられ、全体の雰囲気をより楽しく、ユニークなものにしています。 小学生くらいの女の子にうけそうな一冊です。
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あ・る・は・ずのかけら?
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投稿日:2003/06/23 |
シェル・シルヴァスタイン氏といえば 「おおきな木」! でも、私はこちらの作品の方が好きです。 シンプルな線で描かれた 一部分が欠けた「まる?くん」が、そのかけらを探しに行きます。 絵だけをパラパラと見ていくと、完全な丸になるかけらを探して、幼児でも楽しめる絵本なのかもしれません。 しかし、大人にとっては多くを考えさせられる一冊だと思います。
「何かが足りない。足りないかけらを探しに行く。」と読んだだけで、 完全な姿=まん丸 と疑いもなく考えてしまった私は、この本のエンディングに強く心打たれました。
原本「The Missing Piece」。 「欠けている片=かけら」と直訳するのでしょうが、「ぼくを探しに」となると、「あ・る・は・ずのかけら」となっているような気がしてなりませんでしたが、倉橋 由美子さん(訳者)のあとがきを読んで、再度、この本の奥深さを痛感した思いでした。
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カメレオンの永遠のテーマ?
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投稿日:2003/06/23 |
自分探しをテーマにした「カメレオン」のお話。 周りの色に同化するこの生き物にとって「自分自身の色」は永遠の謎なのでしょうか? レオ=レオーニの「じぶんだけのいろ」では、同じ境遇の仲間との出会いでその悩みを克服し、エリック=カールの「ごちゃまぜカメレオン」では、その特徴を生かし、塗り絵絵本風にお話は展開されました。 そんな中、この本は単純でストレートなお話で、小さな子ども達にも分かりやすい作品だと思います。 ここに登場するカメレオンは、苦悩するだけでなく、自分自身の姿に自信も持っています。こういったところが、みている子ども達に安心感を与えているのでしょう。 最後のページのカメレオンくんのつぶやき。 ここがまたいいんです! 私の予想以上に子ども達にうけました。
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魅せられてしまいました!
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投稿日:2003/06/13 |
暖かいストーリーと、素晴らしい絵。 13年前に買って以来、我が家の本棚の、一番目立つ場所をキープし続ける本です。大事に大事にしていましたが、最近傷みが目立ち始めました。 (まるで、「こん」みたいね。) 男の子の母親である私は、「こん」の中に我が子を映してみたり、(あきをエスコートする こんのナイトぶりは、じつにたのもしいじゃないですか!) ある時は、遠〜い昔、肌身離さず持っていた犬のぬいぐるみを思い出し、「もっと大事にしてあげればよかった。」 な〜んて懐かしんだり・・。
ところで、林先生が描く人物像には、それぞれモデルがいるそうですが、この本ではまず、「こん」をつくり、いろいろと動かしてみたのだそうです。先生のご両親にも手伝っていただいて、そのお二人が、表紙の左側、初老のご夫婦のモデルにもなっているとか・・。(男性の方は、せたていじ先生という説も。) ふくよかな、あの優しいおばあちゃんは、先生の実のおばあちゃんがモデルだそうです。
「視覚だけでなく、官能的皮膚感覚全部で感じられる絵を描いていきたい。」という、林先生の作品からは、まさしく、呼吸しているような温もりや、その息づかいすら感じられ、特に子どもの表情の豊かさには魅せられてしまいます!
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パパは 凄腕ピザ職人!?
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投稿日:2003/06/11 |
外で遊びたいのに、外は雨。 ピートはご機嫌ななめです。 そこで、パパはひらめいた。 「ピートでピッツァをつくったら、楽しくなるかもしれないぞ!」 ピートは大喜びでピザになり、こねられたり、空中とばしをされたり・・・。 あつあつのピザが出来上がり、切ろうとしたら・・ あれれ? ピザがすたこら逃げ出した!
ほのぼのとした、父と子の楽しいひととき。 そばには、優しい笑顔で見守る母親の姿があります。 このお話、最後がとってもいいんです。
パパは大変そうだけど、たまにはこんな遊びで 「親子のスキンシップ」 っていうのもいいですね! (ママはレシピ本にして、腕をふるってみてはいかがでしょう?)
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なが〜い 題名ね。
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投稿日:2003/06/10 |
次男のお気に入り絵本。 学校の図書館で借りてきて、「読んでみて!」と手渡されて・・ まず、題名の長さにびっくり! ところが、読んでみると、このフルネームが何度も繰り返し出てきて、お話に不思議なリズムをつくっているんです。
ストーリーは、男の子がお勉強に出かける途中、「そんなわけないでしょ?」って思うような出来事に襲われて、いつも遅刻してしまいます。遅刻の理由を正直に話しても、先生には信じてもらえず、仕方なく罰を受ける羽目に・・。 ところが、今度は先生にあっと驚く出来事が・・・。
表紙の見開きの部分にちょっとした工夫がされています。
ジヨン・バーニンガムの作品には、奇想天外な発想で、究極の選択を題材にした 「ねえ、どれがいい?」や、環境破壊をテーマにした 「地球というすてきな星」など、印象に残る作品が多い中、この本は、子どもが親しみやすい一冊だと思います。
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「ピノキオ」 かと思ったら・・・
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投稿日:2003/06/09 |
「ウイミックス」というちっちゃな木のこびとたちのお話。 彼らは、エリという彫刻家によってつくられ、みんなは同じ村に住んでいました。
ウイミックスは、きんぴかのお星さまシールとみにくい灰色のだめじるしシールをもっていて、お互いにそのシールをくっつけあって暮らしていました。 ある日、灰色シールばかりを貼られたこびとが、その作り主 エリに会いに行き、「他人の評価は問題じゃない。 おまえのことを大切に思っているよ。」 と諭されます。その言葉を信じ、自分に自信を持てるようになったとき、彼のだめじるしシールがぽろりと地面に落ちました。
表紙の絵を見て、「ピノキオ?」を想像してしまいましたが、読み終えたときは、『目から鱗』って感じで・・・。
この本は、キリスト教の伝道図書(?)を多く出版されている「いのちのことば社」のものと後々知ったのですが、宗教色も色濃くなく、ノンクリスチャンの方にも、その内容に、充分考えさせられる一冊だと思います。
大人の方には、モノトーンの小さな絵本 「たいせつなきみ Ciassic 」の方もお薦めです。
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