大きな荷物を持って電車に乗っているのは、あわてん坊のやぎくん、お調子者のはりねずみくん、そしてしっかり者のぞうくん。そう、あの仲良しの3人組が『ポレポレのやまのぼり』以来、11年ぶりの再登場です!
今度の目的は、なんと「オーロラ」。着いた場所は「ゆきまち」駅。見渡す限り一面の雪景色。まずはくまロッジに行ってツアーの受け付けです。出発までの空き時間、3人は雪遊びを満喫。空が暗くなると、いよいよオーロラを見に行く時間です。おやおや、やぎくん。相変わらずの大荷物、そんなに持って大丈夫? はりねずみくんも、やっぱり大はりきりで先頭を急ぎます。
「ポレポレゆきのなかだぜ」
「ポレポレいこう」
ぞうくんや、そして懐かしい山登りの仲間たちが、心配しながら声をかけてくれます。そうそう山登りは“ゆっくり”ね。そして丘の上にたどりつき、寒くて震えながら待つみんなの頭の上には……なんて美しい光景なのでしょう!!
作者のたしろちさとさんが、実際に真冬の北極圏で体験したオーロラを絵本の中で再現してくれているこの絵本。その幻想的な光はもちろん、雪の冷たさや夜の寒さ、外で飲むスープの温かさ、みんなで特別な時間を共有した時の興奮なども伝わってきて、まるでみんなと一緒にキャンプをしているみたいなワクワクする臨場感が味わえます。
旅を通して描かれる、3人それぞれのキャラクターや友情の物語も魅力的。「そろそろどこかへ出かけたいなあ」と思ったら、この絵本を手に取って、やぎくん、はりねずみくん、ぞうくんの3人に会いにきてみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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