緑色のへびのしっぽの絵から……ページをめくると、横長の画面いっぱいにくにゃくにゃ、にょろにょろの紐みたいなものだらけ。「へび ながすぎて……だれもこれが へびだなんて きづかない」
そう、へびって不思議ですよね。頭としっぽがあるから「……ヘビかな?」と思うけど、もし頭もしっぽも見えなかったら?
この絵本では、ながーーーいへびをへびだと気づかない動物たちが、楽しく遊びます。ねずみは「えっチュら おっチュら」と持ち上げて、すべり台に。うさぎは「よいしょ よいしょ」と端を持って大縄跳び。ゴリラはなんとターザンごっこを始めちゃいます。
いつどの動物が「へびだ」と気づくのか……。なかなか誰も気づかないけれど、とうとう最後に予想の上を行くどんでん返しが……!?
動物たちのユーモラスなポーズと思い込みに、じわじわとおかしさがこみ上げてくる絵本。作者のふくながじゅんぺいさんは出身地の静岡県藤枝市の藤枝文学館にて、作家・小川国夫さんの書画「蛇長過ぎる」を見て「確かに!」と納得。本書を着想したそうです。
個人的にふくながさんが描く動物たちは、ぽっこりしたお腹とお尻がかわいいなあと思うのですが、そういえばへびのお尻はどこなのでしょうね?(ふくながさんが、本書に挟み込まれた「作者のことば」でお尻はどこだと書かれていますが、確かに!) わからないことはいろいろありますが、その「わからなさ」を存分に楽しみたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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