おおきくなるっていうことは
- 作:
- 中川 ひろたか
- 絵:
- 村上 康成
- 出版社:
- 童心社
絵本紹介
2023.03.22
さぁ、いよいよ一年生! ピカピカのランドセルや文房具。学校、教室、勉強に、初めて出会う友だち。 これからの新しい毎日に、ワクワクきらきらした期待でいっぱいのはず!
でもきっとそれだけでなく、「お友だちできるかな……」「学校ってどんな所なんだろう」「先生に怒られたらどうしよう……」というドキドキや不安を抱えている子もきっといるはずです。
いろんな気持ちを抱えはじめる学童期のスタート。さまざまな変化を優しく受け止めながら、そっと背中を押してくれる絵本やおはなしを集めました。
大人のみなさんも、我が子の不安な気持ちは痛いほど感じているはず。ご自身が一年生だったあの頃を懐かしく思い出しながら、隣にいるお子さんに寄り添ってあげてくださいね。
みどころ
2歳が3歳になって、4歳になって…
どんどん大きくなる子どもたちに向かって、私たち大人は言わずにはいられません。
「おおきくなったね」
でも、子どもたちはどう感じているのかな。
おおきくなるって、どういうことなのかな。
この絵本は、一緒に考えてくれます。
「おおきくなるっていうことは…」
洋服が小さくなるってこと。新しい歯がはえてくること。
あんまり泣かないこと、高いところに登れること。
それから、それから。
小さい子どもたちの毎日は「おおきくなる」喜びでいっぱい!
だけど、園長先生は言います。
「おおきくなるっていうことは
じぶんより ちいさなひとが
おおきくなるってこと」
それって、どういうことなのかな?
ピーマン村シリーズの中でも、特に進学・卒園の時期に人気のこの絵本。保育士でもあった中川ひろたかさんが投げかける一つ一つの言葉は、小さな子どもたちが自分たちでも考えられるように優しくわかりやすいのです。そして、そのシンプルな言葉に心情をのせてくれるのが村上康成さんの絵と構成。熱い気持ちには体温を感じる背景色、未知の世界へ飛び出していくかのような場面には、白の背景を。読んでいる人たちが思い思いに気持ちを映していきます。
ところで、おおきくなるっていうのは、どういうことなのか。大人だって一緒に考えたくなる一大テーマなのかもしれません。読んだあとも、絵本を大切にとっておいてくださいね。
この書籍を作った人
1937年東京都生まれ。瀬戸内海で幼少年期を送る。京都大学仏文科卒業。海育ちの海好きで、海を舞台にした作品が多い。『海のしろうま』(理論社)で野間児童文芸賞、『はんぶんちょうだい』(小学館)で小学館文学賞、『まつげの海のひこうせん』(偕成社)で絵本にっぽん賞、『カモメの家』(理論社)で路傍の石文学賞を受賞。絵本の翻訳に「バーバパパ」シリーズ(講談社)、「カロリーヌ」シリーズ(BL出版)などがある。
この書籍を作った人
1939年東京生まれ。東京芸術大学工芸科卒。主な作品に『14ひきのあさごはん』(絵本にっぽん賞)など「14ひきのシリーズ」、エリック・カールとの合作絵本『どこへいくの?To See My Friend!』(童心社/アメリカ、ペアレンツチョイス賞)、『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』(偕成社/サンケイ児童出版文化賞)、『かんがえるカエルくん』(福音館書店/講談社出版文化賞絵本賞)、「トガリ山のぼうけん」シリーズ、「ゆうひの丘のなかま」シリーズ(理論社)などがある。98年栃木県馬頭町(現・那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館、絵本・自然・こどもをテーマに活動を続けている。栃木県益子町在住。
みどころ
一年生になった時って、どんな気持ちだったかな。
どんなことを考えていたっけ。
この絵本は、谷川俊太郎さんの詩と和田誠さんの絵で、初めての学校生活にふみ出す新一年生の期待と不安と感動が入り交じった日常を生き生きと描き出します。
「せんせいが わたしの なまえを よびました
せんせいは わたしの なまえを しってるんだね」
「わたしは たかしくんが すき
でも どうすればいいか わからない」
「ぼく このやろと いったら
あいつ ばかやろと いった」
一つ一つの詩から聞こえてくるのは、子どもたちのささいなつぶやき。
でも、声に出して読んでみると、豊かな言葉の世界が広がっていきます。
そういえば小学校生活って、こんな風にこまぎれな毎日が重なりあって出来ていたなあ・・・
なんて大人も思い出します。
新学期がはじまって、緊張でちょっぴり凝り固まっている子どもたちが読めば、
心を開放してくれるような気持ちよさもあるかもしれませんね。
さあ、新一年生の諸君!
大きくて広くて豊かな小学校生活が待っています。
『いちねんせい』を大きな声で読んで。
ランドセルにピカピカの教科書をつめて。
元気に小学校へいってらっしゃーい!!
時代を超えて子どもたちに愛されてきた、ロングセラー詩集です。
この書籍を作った人
1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳など幅広く活躍。1975年日本翻訳文化賞、1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞。ほか受賞多数。絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これはのみのぴこ』(サンリード刊)、『もこもこもこ』(文研出版)、「まり」(クレヨンハウス刊)、「わたし」(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。翻訳作品も多数。
この書籍を作った人
1936年大阪生まれ(小学校2年から東京)。イラストレーター、グラフィック・デザイナー 。多摩美術大学卒業。1959年ライトパブリシティに入社。9年間社員デザイナーを務める。1960年漫画集『21頭の象』を刊行。続いて私家版絵本を7冊作る。1968年から4年数カ月「週刊サンケイ」の表紙絵を描く。1977年「週刊文春」の表紙(絵とデザイン)を担当して現在にいたる。装丁、挿絵、絵本などの仕事のほか、映画を監督することもある。主な絵本作品に『ことばのこばこ』(瑞雲舎)、『ねこのシジミ』(ほるぷ出版)、『ぬすまれた月』(岩崎書店)他多数。また谷川俊太郎との作品に『あな』(福音館書店)、『ともだち』(玉川大学出版部)、『これはのみのぴこ』(サンリード)、『あくま』(教育画劇)など多数ある。
みどころ
ある日、うみひこくんが、ようちえんから帰ってくると、大きな箱が届いています。
「あ、おじいちゃんから」
開けてみると、入っていたのは…ランドセル!
「やったー!ランドセル!うゎおー!あお!」
かっこいい。おじいちゃんは、ぼくの好きな色を覚えていたんだ。
早速、背中にしょってみると、なんだか大きい。
「だって 6ねんせいに なるまで つかうのよ。」
とお母さん。そうか、6ねんせいかぁ。
うみひこくんが、中に色々入れて、外へ出かけてみると、近所の人たちが声をかけてくれます。「りっぱだねぇ」「かっこいいね」ちょっぴり、おにいさんになった気分です。
「あ、そうだ! 」
うみひこくんは、大事なことを忘れていましたよ……。
新一年生になる直前の、ドキドキとワクワクが入り混ざった、あの特別な期間。新しいことばかりが始まるんですから、当然ですよね。だけど、そんな時に、初めて手にする自分だけの「ランドセル」。その嬉しさに、不安なんて一気に吹きとんでいきます。
中川ひろたか&村上康成の大人気コンビによる、春にぴったりなこの絵本。うみひこくんの張り切る様子に、読んでいる方も清々しい気持ちになってくるのです。
かっこいいね、青いランドセル。そして、がんばれ新一年生!
この書籍を作った人
1954年埼玉県大宮市生まれ。日本ではじめての男性保育士として、5年間千早子どもの家保育園に保父として勤務。1987年、みんなのバンド「トラや帽子店」を結成。リーダーとして活躍。「みんなともだち」「世界中のこどもたちが」などは、たくさんの子どもたちに歌われている。1995年「さつまのおいも」(童心社刊)で絵本デビュー。「たなばたプールびらき」他ピーマン村の絵本シリーズ(童心社刊)、「わりとけっこう」(絵本館刊)などの作品がある。絵本「ないた」で日本絵本賞受賞。絵本作家、詩人の他にも、ラジオDJなど、多方面で活躍中。
この書籍を作った人
1955年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルドライフアート、オリジナルグッズなどで独自の世界を展開する、自然派アーティスト。「ピンクとスノーじいさん」(徳間書店)、「プレゼント」(BL出版)、「ようこそ森へ」(徳間書店)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞、「ピンク!パール!」(徳間書店)で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、「なつのいけ」(ひかりのくに)で日本絵本賞大賞、「999ひきのきょうだいのおひっこし」(ひさかたチャイルド)が2012ドイツ児童文学賞にノミネートなど国内外で高く評価されている。主な作品に「星空キャンプ」(講談社)、「さかなつりにいこう!」(理論社)、「石のきもち」「くじらのバース」(ひさかたチャイルド)、新刊「どろんこ!どろんこ!」(講談社)など多数ある。伊豆高原と石垣島に、村上康成絵本ギャラリーがある。
この書籍を作った人
絵本作家。絵本創作に紙芝居、イラストレーションなどの創作の仕事やエッセイや翻訳も。代表的な作品に「とうさんかあさん」(石風社/絵本日本賞文部大臣賞受賞)「おかあさんがおかあさんになった日」(童心社/サンケイ児童出版文化賞受賞)、「せとうちたいこさん・デパートいきタイ」(童心社/日本絵本賞受賞)、紙芝居に「ねこのたいそう」(童心社)など。
みどころ
学校に通う子どもたちが教室でふだん目にしている、たくさんの道具やものたち。
ページを開くと、なにやら楽しそうなひそひそ声が聞こえてきますよ。
ちょっと聞いてみましょう。
「ふでばこ」―ふでばこがしたじきに、もんだいを出しています。
「さて、もんだいです。きょう、ぼく ふでばこの なかには、なにが はいっているでしょうか?」
したじきはすぐに こたえます。「えんぴつと けしごむと ものさし、それから、あかえんぴつも はいってる」
「せいかいです。でも、まだ、なにか はいっています」…。
(さて何がはいっていたのでしょうか?)
「うわぐつ」―うわぐつの かたほうが いいました。「あした、おやすみだよね」「うん、そうだよ」もうかたほうが答えると、
「もうすぐだね。もうすぐしたら、いえに かえって きれいに あらって もらえるんだね」「たのしみだね」…。
(うわぐつたちは、このあと無事に洗ってもらえたのでしょうか?)
教室で使われているものたちがどんなことを考えているのか、それぞれの特徴がよく表れていて、なるほど!と思ったり、くすっと笑ってしまったり。他にも、リコーダーとピアニカ、あかしろぼう、ランドセル、給食のパン、黒板消し、通知表など、教室でおなじみのものがつぎつぎに登場してきては、楽しいお話を繰り広げていきます。
1話の長さは見開き1ページ。親子での読み聞かせタイムや、学校でのちょっとした時間の読み聞かせにもちょうどいいボリューム。読み終わった後には「どのお話が好きだった?」と気に入ったお話を交流してみたり、お話のオチをクイズにして出し合ってみるのも面白そう。さらに何かお話を作ってみようかなと、子どもたちの想像力や創作意欲もかきたててくれそうです。
見ているだけで楽しくなるような明るい色使いで、愛らしい教室の仲間たちの様子をユーモラスに描いているのは、ことばあそび絵本『あっちゃんあがつく』でおなじみのさいとうしのぶさん。次は何が出てくるのかな?どんなお話なんだろう?と気になってどんどんページをめくってしまいます。あっという間に読み終わってしまったら、次は台所にある道具や食べものたちが活躍する第1弾『おはなしだいどころ』も合わせて、どうぞ。
この書籍を作った人
堺市に生まれる。嵯峨美術短期大学洋画科卒業。テキスタイルなどのデザイナーをへて、インターナショナルアカデミー絵本教室に学ぶ。作品には、『あっちゃんあがつく』(原案・みねよう)『しりとりしましょ!』『おしゃべりさん』『おかしなおかしなおかしのはなし』『へんてこかぞえうた 1ちゃんいちにち』『どっきりかぞえうた ちょっぴりこわいぞ』(うた・高木あきこ)『きしわだのだんじりまつり』(作・なかむらしょうこ)『たべものかるた』(原案・みねよう)─以上リーブル 『ぎゅうって』『よーい よーい よい』『あぶくたった』『おべんとうばこのうた』─以上ひさかたチャイルド『たこやきようちえん』(ポプラ社)『べべべんべんとう』(教育画劇)『おいしい おと なぁに?』(あかね書房)『まほうのでんしレンジ』(原案・たかおかまりこ ひかりのくに)『てんとうむしのはじめてのレストラン』(アリス館)『まんまるおつきさん』(作・ねじめ正一 偕成社)『おはなし だいどころ』『おはなし きょうしつ』(以上PHP研究所)『十二支のかぞえうた』(佼成出版)『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞 のら書店)など多数。
出版社からの内容紹介
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新学期に読みたい 友だちづくりの絵本
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新学期は、新しいクラスが始まって、期待と不安が混ざってドキドキしますね。
さくらちゃんも、クラスにまだ仲良しの友だちがいません。学校から友だちと帰りたいのに、家が近くて誰も誘ってくれません。そんなある日、転校生のあおいちゃんが一緒に帰ろうと声をかけてくれます。嬉しいさくらちゃんは、つい家が遠いと嘘をついてしまって……。
子どもの心のゆれに寄り添いながらお話作りを続けるかさいまりさんの、心温まる友だちの物語。
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【ちょっと内気な子、友だちづくりに悩んでいる子にお勧め】の絵本です。
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●●●読者・保護者からの声●●●
・さくらちゃんの通学路の話は今の自分と重なって、友だちと肩並べて帰るのが楽しいのがすごく伝わってよかったです(小1女の子)
・この絵本を通して友だちの作り方だったり、友だちが子どもの小学校生活の心の支えになることがわかった気がします(小1女の子のママ)
この書籍を作った人
北海道生まれ。北海道芸術デザイン専門学校卒業。幼年童話「こぐまのクーク」物語シリーズ(KADOKAWA)など、やさしい絵と文で描くどうぶつたちが主人公の作品で知られる。また、文を担当し、子どもの気持ちをこまやかに描く作品も多い。主な共著絵本に『かあちゃんえほんよんで』(文/かさいまり 出版社/絵本塾出版)、『ばあちゃんのおなか』(絵/よしながこうたく 出版社/教育画劇)、『ねえたんが すきなのに』(絵/鈴木まもる 出版社/佼成出版社)、『ぴっけやまの おならくらべ』(絵・村上康成 出版社/ひさかたチャイルド)、『ちいさいわたし』(絵/おかだちあき 出版社/くもん出版)など。日本児童文芸家協会会員。日本児童出版美術家連盟会員。
この書籍を作った人
1971年、大阪府生まれ。イラストレーター。絵本や書籍の挿画などを手がける。主な絵本に、『希望の牧場』(作:森絵都)、『パパのしごとはわるものです』(作:板橋雅弘)、『悪い本』(すべて岩崎書店)、『はるとあき』(作:斉藤倫 うきまる/ 小学館)、『星につたえて』(文:安東 みきえ/アリス館)、挿画に、「雨ふる本屋」シリーズ(作: 日向理恵子/童心社)などがある。
文/竹原雅子 編集/木村春子