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絵本紹介

2025.10.06

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明日なんて、ないかもしれない。『ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話』【NEXTプラチナブック】

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2025年8月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

あの日、ぼくたちの人生はかわってしまった。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話』。ホロコーストの終結から80年目にあたる2025年1月27日に合わせて、イギリスで刊行されたこの絵本、どんな内容なのでしょう。

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

明日なんて、ないかもしれない。『ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話』

その日をきりぬけたら、次の日をきりぬける

  • ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話

    みどころ

    あの日、ぼくたちの人生は変わってしまった。

    1942年の第二次世界大戦中、フランスのパリに住むハンガリー系ユダヤ人の父親と息子は、ナチス・ドイツ軍と闘うために身をひそめていたが、つかまって、ナチスの収容所に入れられた。

    収容所では、仲間とトンネルを掘り、あと少しで脱出できるところで見つかってしまい、家畜用貨車である第62輸送列車に乗せられ、移送されることに。けれど彼らはあきらめなかった。トンネルの中で列車から飛びおり、命からがらパリへと戻り、ふたたびナチスとの闘いに戻っていったのだ。

    その日をきりぬけたら、次の日をきりぬける。
    その日、一日だけ。
    その日を終えたら、
    またつぎの一日を。

パリで身を隠し、レジスタンス活動をしていた父と息子は、ある日、捕らえられて収容所に送られる。この日から、すっかりかわってしまった。もうナチスと闘う自由はなくなった。

骨と皮だけになった体で、来る日も来る日も強制労働に明け暮れる。収容所からは、毎日ユダヤ人がどこかへ連れていかれる。「ピチポイ」と呼んだその場所へ行かないために、彼らはトンネルを掘りはじめる。しかしそれもまた……。

なにかをしなければ二度ともどれない。

これらは全て本当の話。作者マイケル・ローゼンの父親の叔父夫婦は、主人公と同じ第62輸送列車に乗せられ、帰らぬ人となった。そのことを知った作者が作品を執筆、ホロコーストの終結から80年目にあたる2025年1月27日に合わせて、イギリスで刊行されたのがこの絵本。文章と共鳴している素晴らしい絵は、ホロコーストの犠牲となった人々やその時代に生きた人たちの写真を参考に描かれ、読む人に当時の状況を直接的に伝えてくれています。

絵本の中に登場するのは、ドイツに占領されたフランスで、ナチスに対抗するための活動をしていた親子。当時はヨーロッパ各地にそうしたレジスタンス活動家が多数おり、人々の心の精神的な支えとなっていたのだそう。けれど、捕まれば死を意味するその活動が、どれほどの恐怖と隣合わせだっただろうか。それでも動かずにはいられない状況をおもうだけで、胸がしめつけられるようです。

第二次世界大戦の終結から80年。戦争の記憶を風化させてはいけないという思いから、今年日本語版が出版されました。いつか平和が訪れるその日まで、私たちは強く願いつづけなければなりません。

 

編集長のおすすめポイントは……

史実に基づいた物語だからこそ

「なにかをしなければ二度ともどれない」。絶望と混乱の日々の中、そうやって行動を起こす決意をすることに、どれだけの気力が必要で、どれだけの恐怖と闘わなければならなかっただろうか。史実に基づいた物語だからこそ、その緊張がダイレクトに伝わってきます。この絵本のカバーの絵は、ホロコーストの犠牲になった人々やその時代を生きた人たちの写真を参考に描かれたのだそう。その表情は、80年後を生きる私たちへ「希望」を託しているようにも見えるのです。

この書籍を作った人

マイケル・ローゼン

マイケル・ローゼン

子どもたちにもっとも愛されている作家のひとり。数々の賞を受賞した詩人でもある。ロンドン大学ゴールドスミス校児童文学教授。邦訳作品に『きょうは みんなで クマがりだ』(評論社)、『悲しい本』(あかね書房)など多数。イギリスロンドン在住。

マイケル・ローゼン 作品一覧

この書籍を作った人

ベンジャミン・フィリップス

ベンジャミン・フィリップス

イラストレーター。絵を手がけた作品Alte Zachen で2023年カーネギー賞画家賞の最終候補に残った。2024年、V&Aイラストレーション・アワードの子ども向けイラストレーション部門で優勝。イギリスヘイスティングス在住。

ベンジャミン・フィリップス 作品一覧

この書籍を作った人

横山 和江

横山 和江

子どもの本の翻訳家。埼玉県生まれ、山形県在住。訳書に、『水のはなし 水をめぐる冒険の旅へ』『地球のことをおしえてあげる』(ともに鈴木出版)、『アグネスさんとわたし』(岩波書店)、『スペルホーストのパペット人形』(偕成社)、『きみが生きるいまのおはなし』(文研出版)、『サディがいるよ』(福音館書店)、『ジュリアンとウエディング』(サウザンブックス社)など多数。やまねこ翻訳クラブ会員。JBBY会員。

横山 和江 作品一覧

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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