あの日、ぼくたちの人生は変わってしまった。
1942年の第二次世界大戦中、フランスのパリに住むハンガリー系ユダヤ人の父親と息子は、ナチス・ドイツ軍と闘うために身をひそめていたが、つかまって、ナチスの収容所に入れられた。
収容所では、仲間とトンネルを掘り、あと少しで脱出できるところで見つかってしまい、家畜用貨車である第62輸送列車に乗せられ、移送されることに。けれど彼らはあきらめなかった。トンネルの中で列車から飛びおり、命からがらパリへと戻り、ふたたびナチスとの闘いに戻っていったのだ。
その日をきりぬけたら、次の日をきりぬける。
その日、一日だけ。
その日を終えたら、
またつぎの一日を。
これらは全て本当の話。作者マイケル・ローゼンの父親の叔父夫婦は、主人公と同じ第62輸送列車に乗せられ、帰らぬ人となったのです。そのことを知った作者が作品を執筆、ホロコーストの終結から80年目にあたる2025年1月27日に合わせて、イギリスで刊行されたのがこの絵本です。文章と共鳴している素晴らしい絵は、ホロコーストの犠牲となった人々やその時代に生きた人たちの写真を参考に描かれ、読む人に当時の状況を直接的に伝えてくれています。
絵本の中に登場するのは、ドイツに占領されたフランスで、ナチスに対抗するための活動をしていた親子。当時はヨーロッパ各地にそうしたレジスタンス活動家が多数おり、人々の心の精神的な支えとなっていたのだそう。けれど、捕まれば死を意味するその活動が、どれほどの恐怖と隣合わせだっただろうか。それでも動かずにはいられない状況をおもうだけで、胸がしめつけられるようです。
第二次世界大戦の終結から80年。戦争の記憶を風化させてはいけないという思いから、今年日本語版が出版されました。いつか平和が訪れるその日まで、私たちは強く願いつづけなければなりません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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1942年12月、ナチス・ドイツに抵抗するレジスタンス活動をしていた父親と息子は、捕らえられてナチスの収容所に入れられた。仲間とトンネルを掘って脱出をはかるが、あと少しのところで見つかってしまい、家畜用貨車で移送されることに。
作者のマイケル・ローゼンの父親の叔父夫婦は、この絵本の主人公親子と同じ第62輸送列車に乗せられ、帰らぬ人となりました。そのことを知った作者は、この作品を執筆。ホロコーストの終結から80年目にあたる2025年1月27日に合わせて、イギリスで刊行されました。カバーの絵は、ホロコーストの犠牲になった人びとやその時代に生きた人たちの写真を参考に描かれています。
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