- おたんじょうび くろくま
- 作・絵:たかい よしかず
- 出版社:くもん出版
あしたはくろくまくんのお誕生日。 「あした、なんのひかしってる?」と、くろくまくんは、聞いてまわります。 でも、ぞうさんの答えは「ごちそうを食べる日」、小鳥さんの答えは「歌う日よ」、パパの答えは「仕事がやすみの日」ですって?! みんなは忘れてしまっているのかな。 でも大丈夫! みんなくろくまくんを楽しませようとそれぞれ準備していたのです。 誰もが主役になれる日、“おたんじょうび”。 仲間たちの、くろくまくんを喜ばせようというお祝いの方法や、プレゼントの数々に、心があたたまります。 プレゼントは「もの」だけじゃなくて、相手を思う気持ちなんですよね。 大切な人の“おたんじょうび”に、読んであげたい、プレゼントしたい1冊です。
●読者の声から生まれた「おたんじょうび くろくま」
───「おはなし・くろくま」シリーズは、1作目の『おさんぽ くろくま』からはじまって、今回の『おたんじょうび くろくま』で8作と人気の高いシリーズですよね。今回のテーマは「誕生日」。くろくまくんの誕生日をみんながわざと忘れたふりをして、戸惑うくろくまくんのちょっぴり切ない姿がとっても可愛かったです。
誕生日をテーマにしたくろくまくんのおはなしは、どのように決まったのでしょうか?
「くろくまくん」シリーズは季節をテーマにおはなしを決めているんです。今回、最初に春のサクラをテーマにしたおはなしを作ろうと思っていたんですが、サクラの季節はあっという間に終わってしまうから、季節が限定されすぎてしまうという理由で、別のテーマを考えることにしました。そこで1年中楽しめるテーマで絵本を作れないかということで、誕生日をテーマに選びました。
───たしかに、誕生日は特定の季節がありませんし、毎日誰かが誕生日を迎えていますものね。
それとくろくまくんの絵本に入っている読者カードの中に「くろくまくんの、どんなおはなしが読みたいですか?」というアンケートがあって、シリーズ当初から「誕生日のおはなしを描いてください」というご要望が多かったんです。
───では、お誕生日のおはなしは、読者の方の声に応えて、満を持しての登場になるんですね! 「くろくまくん」シリーズは季節をテーマにしているとうかがいましたが、最初から季節を意識していたのですか?
最初は4冊で終わる予定だったので、『おさんぽ くろくま』で秋、『ゆきのひ くろくま』で冬、『うみべの くろくま』で夏、『ともだち くろくま』で春と四季を一巡しようと思い作りました。おかげさまで読者の方の評判が良く、シリーズを続けられることになって、「どうせなら12冊出して、12ヶ月のくろくまくん絵本を作りたい!」ってそのとき思ったんです。
───今、8冊なので、あと4冊、シリーズが続くんですね!
でも編集さんからは、「おはなしが良かったら続けましょうね」といわれているので、僕のアイディアと読者の方のくろくまくん愛にかかっています!(笑)
───「おはなし・くろくま」シリーズは全作品を並べてみたくなるくらい、カラフルで可愛い表紙も魅力ですよね。表紙の色は毎回、どのように決めているのでしょうか?
色とテーマは大体同時に決まります。『おさんぽ くろくま』から『ともだち くろくま』までの4作の色は、僕が20年くらいずっと好きな色なんです。この間、仕事場の机から出てきた古い資料に自分が好きな色の組み合わせが残っていて、それが「くろくまくん」シリーズの最初の4冊と同じ色だった…。「20年前と変わってないやん!」と自分で突っ込みを入れました(笑)。実は、「くろくまくん」シリーズが続くことが決まったとき、12冊分の表紙の色も一緒に考えているんですよ。
───すごい! 作品のテーマと表紙の色が一覧リストになっているんですね! 『おたんじょうび くろくま』の白い表紙も、くろくまくんの黒ととても合っていますよね。
『おたんじょうび くろくま』の白は、12冊考えたときのリストには載っていない色なんです。季節を限定しない色だから、白が一番ピッタリかなと思って決めました。