この絵本のはじまりは、なかなか衝撃的です。
ねずみが、おおかみにぱくっと食べられてしまうのです。
主人公なのに!
でも実は、面白いのはここから。
真っ暗なお腹の中でおうおう泣いていると、誰かいる。
見ると、パジャマを着てベッドに入って寝ていたらしい、あひるです。
驚くねずみをよそに、あひるはあっという間に朝食の支度を整えます。
(お腹の中で、ですよ)
「ようこそ わがやへ。
ぱくっと くわれたけど、
べつに どうってこと ないし」
なんでしょう、このカラッとした感じ。
そしてあひるの言う通り、おおかみのおなかの暮らしは意外と悪くないのです!
必要なものはおおかみに飲み込んでもらえばいいし、何よりおおかみは森では無敵。
安全なのです。
ふたりいれば、退屈だってしない。
ところが、ある日。
そんなおおかみの天敵がやってきます。
かりゅうどです。
おおかみ、大ピンチ!
その時、あひるとねずみのとった行動は……?
まさに予測のつかない展開の繰り返し。
あひるが何を言い出すのか、おおかみがどんな行動をおこすのか。
結局ねずみはどうするのか。
そりゃあそうですよね、最初の設定から想定外なのですから。
だけど物語のクライマックスはやってきます。
「おりゃーーっ!」
あまりに愛らしく、それでいて健気で、ユーモラス。
ちょっと涙が出てくるくらい。
世界中で大人気の絵本作家マック・バーネット&ジョン・クラッセンのゴールデンコンビによる最新作を、なかがわちひろさんによる軽快な翻訳で。大爆笑の連続に「これぞ絵本の醍醐味!」と幸せな気持ちになってしまうのは子どもたちだけではないはずですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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