学校帰りのバスに乗る子ども達の中で、一番のおちびさんが、この物語の主人公のサラちゃんです。サラちゃんは、このバスがちょっぴり苦手。一緒に乗るお姉ちゃんはすぐに友達の所に行ってしまうし、一番前の特等席は誰かが先にすわってしまうし、おまけにとっても騒がしい。 ある日、お姉ちゃんが風邪でお休みして、サラちゃんは一人でバスに乗って帰ることになりました。ところが日差しがあまりに暖かく、ついうとうとしたサラちゃんは・・・? 不安、緊張、小さな優越感。子どもの繊細な心の動きを、優しい言葉と可愛らしい絵で描き出しているのがこの作品。とても身近な存在である赤いバスが、とても大きく見えたり、親しげに見えたり。ちょっと怖かったり、憧れたり。そうそう、そんな風にちょっとした出来事で、見えてくる風景も全然変わってしまうのが子どもの目線なんですよね。読んでいるうちに、かつての自分を思い出したりしてしまうのです。こんな、子どもの気持ちに寄りそっている絵本こそ、今の子ども達を優しく応援してくれるのではないでしょうか。 ちなみに、ぐっすり眠ってしまうサラちゃんのまんまる顔の可愛さは必見ですよ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
小さなサラちゃんは、学校帰りのバスが、ちょっぴり苦手。大きな子たちはうるさいし、特等席にはすわれないし……。 ところがある日、お姉ちゃんが学校をお休みしたので、たったひとりで、バスに乗ることになり――。
絵が可愛くて、見返し部分にも、小さなたくさんのイラストがあり、それぞれ名前が書いてあります。絵を描くのが好きな息子は毎回、
ここも読んで
と言ってきます。
家では兄弟の中で一番大きい息子だけど、マイペースでおっとりな息子。きっとサラちゃんに共感できるところがあったんだろうな。最近よく、寝る前に選んでくる絵本です。
バスに乗った時のサラちゃん、お姉ちゃんの隣も空いてないし、特等席も空いてないし、
どこにすわればいいの?
どうしてこんなにうるさいの?
少し、困った空間から、お姉ちゃんがお休みの別の日、帰りに眠ってのりすごして、心細い中、運転手さんに心と体を優しく温めてもらったサラちゃん。暗くなった中、家の外でサラちゃんを出迎えた家族。
私自身も、共感するところがあって、読み入ってしまいました。 (ほっこり日和さん 30代・ママ 男の子6歳、男の子5歳、女の子1歳)
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