走るのが遅いのにリレーの選手にさせられた桃子。
誘っても友だちは一緒に練習してくれない。
でもこういうピンチのときに助けてくれるのが用務員の仙さん。
「たいしたことじゃないよ」といつも子どもたちを安心させてくれる。
どこにでもあるようなお話ですが、実際には親や友だちのお母さんや先生以外の大人とふれあう機会は、子どもたちにはあまりない。
いわゆる「ななめの関係」をもつことはとても難しいことなのだ。
このお話の中では、用務員の仙さんがその役割を果たしてくれている。
同じ学校という職場で働いていても、
仙さんと先生とは、違ったスタンスで子どもに接してくれる存在なのだ。
利害関係のない大人の存在があれば、
子どもたちは問題にぶつかったときでも、
その存在が救いになるに違いない。
「にんきもの」シリーズの森絵都と武田美穂の名コンビが、
おもい話をユーモアいっぱいの本に仕上げています。