あら、保育園の玄関で思いっきり泣いている子は誰でしょう。
こたろうくんです。
こたろうくんは、保育園に入ったばかり。朝、おかあさんとバイバイするのがつらいのです。
だって、おかあさんが大好きなんです。おかあさんじゃなきゃダメなんです。
こたろうくんの様子を見て、ドキンとしてしまう方もいるかもしれませんね。
自分の子も、保育園にあずけた後に泣いているかもしれない・・・。
でも、ゆきこ先生はこたろうくんの気持ちをちゃんとわかっています。
無理に泣き止めさせることはしません。
おもちゃでちょっかいを出してみると、ちょっと笑いかけたこたろうくん。
でも、顔をあげたらおかあさんじゃありません。
またまた泣き出してしまいます。
お昼寝の時間、こたろうくんはおかあさんの夢を見ました。
「こたろうくんはえらいね。おかあさんが仕事に行っている間、ちゃーんと待っていられるんだもの」
夢の中のおかあさんはたくさんほめてくれます。すると、こたろうくんは・・・。
昼間は元気に園庭で走り回っている子どもたちだって、
おむかえを待つ小さな子どもたちの心には、いつだってちょっぴり不安があります。
だけど、おかあさんが大好きだから頑張れるんですよね。
そんな園児の心の変化を、ひがしちからさんが優しい眼差しで描き出します。
おかあさんやゆきこ先生の表情、楽しそうに過ごすまわりの子どもたち、賑やかな部屋、美味しそうなおやつ。そんな風景からも、こたろうくんを包み込む空気を感じて嬉しくなります。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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