「ねこの おぼんは みょうみょうみょう
あのよにいった ごぜんぞさんを
こんや ひとばん おむかえするで
なつのまんげつ ぼんおどり」
ねこにもお盆はあるんですって……知っていましたか?
大きな湖のまんなかに、ぽっかり浮かんだ島。
だれも知らないねこの島。
そのちいさな浜辺に、ねこが集まって、お盆の準備にてんてこまいになるんです。
きゅうりの馬で、ご先祖さんがあの世からはやくやってきて、なすびの牛でゆっくり帰るように。
精霊馬の意味もさりげなく織り込みながら、はやしますみさんが描くお盆の夜。
……そのぴかぴかひかって美しいこと!
まるで灯籠の光のように、あでやかに、透けるような色彩が夜空にはじけ、あの世とこの世が混ざり合っているみたい。
「みょうみょうみょう みょうみょうみょう」
一年の中で、とくべつなお盆の夜が華やかに描かれます。
ねこだってご先祖さまに会いたいんですねえ。
(やってきたご先祖さまとねこたちのユーモラスな会話が、細かく絵に描き込まれています。子どもはこんなところを読んでもらうのが大好きです。)
「ねこのおぼんは みょうみょうみょう」とつぶやきながら、月をみあげて、星をみあげて……。
いつも見守ってくれているご先祖さまを思って、ねこのように踊ってみるのも、いいですねえ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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おおきな湖のまんなかに、ぽっかり浮かんだちいさい島は、だれも知らない「ねこのしま」。夏の満月の夜、ごせんぞさんをおむかえして、盆おどりをするのです。
みんなで浜辺にあつまって、いっせいに目を光らせると……湖のむこうから、ぎょうさんきはった、ごせんぞさんや。
おひさしぶり ごきげんさん
あいたかったわ わたしもや
きれいなお月さんがのぼるころ、みなさんお待ちかね、たのしい盆おどりがはじまります。
ねこの おぼんは みょうみょうみょう
ねこはぎ ねこのめ ねこじゃらし
ねこの なまえは せかいいち
からすのえんどう へびいちご
おおいぬのふぐり なんやそれ
月あかりの下、おじいさんもおかあさんも、こどもたちもあかちゃんも、ごせんぞさんも、みんなであつまっておどります。空が白くなって、夜があけるまで、ずっと……。
夏の風物詩・盆おどりを、力強い絵とやわらかな関西弁で生き生きと描いた絵本。
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