おおかみと言えば。昔々のむかしから、こぶたを追いかけるのが大好きです。今日もまた、軽やかにこぶたを追いかけていますよ。あれ? このおおかみと3びきのこぶた、どこかで見たような。
そうなんです。13年も前に、早口言葉をしながら壮絶な追いかけっこを繰り広げていた絵本『はやくちこぶた』に登場してくる皆さんなのです。続編ですね。相変わらずの関係のようです。
……なんて思っている間もなく、いきなりおおかみがびたーーん! 派手に転んで「は」が折れた!?
「じまんのキバがー」
そこから一気に落ち込み弱気になるおおかみ。「は」が痛くて何も食べられないし、お腹はすくし、歯医者は嫌いだし……。こぶた達に出会っても、それどころじゃありません。あれあれ、私たちの知っているあの「何があってもへこたれないおおかみ」の姿とはずいぶん違います。思いっきりうろたえています。
その様子をいち早く察知したのは、こぶた達。怖がるおおかみを心配するふりして、なんだか嬉しそう!? ここからが大ドタバタ劇のスタートです。思いもよらない展開へどんどん転がっていくのですが……。
せっかく主役になったのに、情けない顔ばかりしているおおかみくん。だけど可笑しくて仕方ないのです。きっと彼の周りにいるひとたちも同じ気持ちなのかもしれませんね。
このシリーズは、やっぱり声に出して読むのがおすすめ。大迫力でスピード感たっぷりな絵と、臨場感あふれるセリフの積み重ねで、あっという間に「はやくちこぶた」の世界に魅せられてしまうはずですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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