さむい冬のある日。カナダの北極地方で生まれたのは、小さなホッキョクグマのあかちゃん。あかちゃんの名前は、プック。プックは、安全な巣穴の中でおかあさんと一緒にすくすくと育っていきました。冬が終わる頃、少し大きくなったプックは、初めて巣穴の外に出ます。
「うわぁー−ー!」
まぶしい太陽の光に思わずつむった目をゆっくりあけてみると、そこにあるのは、見たことのないものばかり。おかあさんが大好きなプックは、おかあさんと同じようにのびをしたり、毛づくろいをしたり、お腹を雪につけて体を冷やしたり。ところがある日、おかあさんは鼻を空高くあげてクンクンとにおいをかぎ、厳しい表情になります。プックも真似をしてみると……。
雪と氷におおわれた広い景色の中で、おかあさんと一緒にのびのびと動きまわるホッキョクグマのあかちゃんプック。その姿の可愛らしいことと言ったら! 一方で、時折みせるおかあさんグマの緊迫感やプックの心もとない存在感もしっかりと伝わってきます。それもそのはず、作者はアラスカに滞在して制作をされているというあずみ虫さん。実際にホッキョクグマの親子にも出会ったのだそう。
おかあさんの大きな愛情に包まれて幸せそうなプック、危険が近づいてブルブルと震えるプック。そして、まるで空がおどっているような美しさを見せるオーロラとの出会い。どの姿も愛おしく、ホッキョクグマへの愛情が自然と生まれてくるのです。アルミの金属板を使って描かれる技法も、魅力的。野生動物の親子のあたたかな物語です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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さむい冬のある日。カナダの北極地方で、ちいさなホッキョクグマのあかちゃんが生まれました。おかあさんは、あかちゃんにプックという名前をつけました。春になると、プックははじめて巣穴の外にでます。はじめてみる外の世界は、とてもひろくて、みたことのないものがいっぱい! プックのだいぼうけんのはじまりです。
アラスカに滞在して制作をする絵本作家・あずみ虫が、現地で観察した野生動物たちの物語を描きます。小さな子どもから楽しめるストーリーで、動物への興味の入り口となる絵本。ホッキョクグマの親子のあたたかな愛情を、親しみやすいイラストで描きます。
監修協力:村田浩一(よこはまズーラシア動物園園長)
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