ある町はずれに、ねずみの3きょうだいが住んでいました。
一番上のお兄さんティムは、トンカントンカン物作りが得意。2番目のお兄さんビットはコンピュータが得意。末っ子のマックスはただの食いしん坊。そんな3きょうだいのお話です。
ある日、ティムがりんごジュースを作ろうとしたら、マックスが、りんごをぜんぶ食べてしまっていてがっくり。りんごを買いに行けばいいのですが、その途中には、のらねこのブッチーたちが3びきを捕まえようと待ち構えています。ティムとビットは知恵を絞り、「おつかいロボ」を作ることにしました。ロボットにお店の棚から品物を選ぶ機能をプログラムしておき、りんごを買ってきてもらう作戦です。
ティムはロボットをつくり、ビットは品物を選べる機能をプログラミングして完成! なにを買うのか描いた絵を画像として読みこませると、ロボットは出発しました。カメラ機能も搭載しているので道中の動きもつかめて本格的。道中ブッチーにも出会いますが、ちゃーんと対策機能もつくってあります。
さあ、おかいものは成功したでしょうか!?
実はこのロボット作りの過程は、プログラミング的思考に沿って描かれています。プログラミング思考とは、次の一連の思考を指しています。
「ゴールにたどりつくまでの動きを細かく分解する」
「効率的に動くルートを考える」
「試行錯誤しながら最適なルートを導き出す」
ねずみ3きょうだいがロボットを作っていく流れは、まさにプログラミング的思考。
どんなロボットが必要か、まずおかいものの流れを分析し、ルートを考え、途中に起こりうる問題にも対処したロボットをつくったティムとビット。本格的ですよね。いまの小学校ではプログラミングが必修となっていますが、プログラミング技術というよりも、この一連の論理的思考を養うことが重視されています。
絵本を読み進めていると末っ子のマックスだけは食べて寝て、なにもしていないような気もしますが、最後の最後にはポッといいアイデアを出していて、こうした視点を変えたアイデアというものが、発明やものつくりの最後の一押しだったりするんですよね。この3きょうだい、いずれ大きな発明や起業をしたりするのではないか? と夢も広がります。
それぞれのキャラクターもおもしろく、プログラミング的思考の基本も知ることのできる、とっても楽しいお話です。
(徳永真紀 絵本編集者)
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