リスの楽しみは、きのこのポックと一緒に切り株にすわって、空を飛んでいく鳥を眺めること。それに飽きたら、原っぱへ行って大好きなクロツグミの歌を聴きに行きます。けれど、今日はなぜかクロツグミがいません。あちこちを探しまわるうちに、二人は思いがけないところで見つけます。
「おひるねしてるの?」
静かに寝そべっているクロツグミからは、返事はなく……。
「生命の終わり」に初めて遭遇する小さきものたちの一日を、あたたかく描いたこの絵本。困りはてたリスとポックはねずみのギュンターも呼び、自分たちなりの「弔い」の方法を考えます。
死んでしまったとしても、安心してゆっくり眠れるようにしてあげたい。いなくなった後も、クロツグミを思い出して話をしたい。忘れないでいたい。ショックを受けながらも、3人は必死で考え、体を動かしながら、少しずつその悲しみを受け入れていくのです。
予測もしないタイミングでやってくる、他者との別れ。小さな子どもたちには、そのことを事前に想像することも、理解することも難しいでしょう。絵本の中のリス、ポック、ギュンターたちの素直な感情や、健気で時にはユーモラスな行動は、「死」というテーマを扱いながらも希望を感じることができるはずです。生命について考えたい時、親子で一緒に読む絵本としておすすめしたい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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